【塗装では建物を維持できない-1】「雨仕舞」とは?〜この言葉を知らなければ建物を維持することなどできません。
原田芳一です。
雨仕舞(あまじまい)とは、狭義には、「雨水を建物外部に速やかに排出する仕組み」などの総称です。
私は個人的に、建築における「防水」の概念、具体的には雨水の浸入をシャットアウトする在り様と対比するものであると捉えています。
防水の概念は、空間Aと空間Bがあるとすれば、水はAからBにも、反対にBからAにも移動することはできません。水蒸気も同様です。仕組みとして、AとBの間は絶縁されるからです。
雨仕舞はそれとは異なります。水はAからBへと流れるものの、BからAには移動しません。でも、水蒸気はAからB、BからAへと自由に移動します。したがって、空間Aが室内、空間Bが屋外だとすると、室内には雨水は入り込まず、水蒸気の出入り、すなわち換気ができるということになるのです。これが、雨仕舞の仕組みの一例です。
それでは、なぜこんなことが可能になるのでしょうか。
それは、水の移動はそのほとんどが重力によってもたらされるのに対し、水蒸気は縦横無尽に動くことが可能であるからです。たとえば、室内から屋外へのスロープをつければ、水は重力にしたがい室内から屋外に移動しますが、屋外から室内へは上り傾斜になるため、水が入り込むことはありません。反面、水蒸気は下から上への移動が可能なため、出入りが自由です。
建物にこういった仕組みを施すことによって、雨水を浸入させずに換気を取ることが可能になるのです。