【本質を求めたら、独特なものになりました。】弊社の見積について

原田芳一です。

 

今回は、「塗り替え工事」に関して、弊社でご提出する見積書についてお伝えいたします。

特徴1:「手間」によるグレード分け

 

近年、塗装会社から出される見積では、塗料のグレードに応じて、数種類の金額を提示されることが多くなっています。おそらく、1種類の見積だけを出す業者はほとんどいないでしょう。

それはよいことだと思います。そもそも、外壁や屋根に塗る塗料は、数百種類では収まらないほど市場に出ているのに、業者が恣意的に1種類を選んでしまうのは、お客様の意向に沿っているとはいえません。

もちろん、弊社でも行っています。

それに加え、弊社では、作業手間によって何パターンかの見積書を作成しています。

同じ材料で、同じ範囲を施工するのに、何種類かの異なる金額でご提示しているのです。

いったい、どういうことなのでしょうか?

たとえば、サンドペーパーによる目荒らし(下地ごしらえ)を1つとっても、丁寧にかけてゆくのと、ザッとかけるのでは、その作業にかかる時間が異なるのは当然です。

職人が上手か下手かというより、丁寧に仕事をしているか否かのことですから、ひとつひとつの工程にかかる時間が数倍違ってくることなど、普通に起こっています。

 

そんな違いが生じる理由はただひとつ、工事の経費の多くは人件費であるということです。

 

工事に直接かかる経費は、大きく「材料費」と「人件費」に分けれられます。

その内訳ですが、おおよそ7~8割を人件費が占めます。材料費は、せいぜい2~3割程度です。

ですから、会社に利益を残したければ、なるべく手間をかけずに早く終わらせたほうがよいのです。

ここまで書いても、まだピンとこない方も多いでしょう。

そこで、たまたま撮影することができた写真をお見せします。

 

この写真は、あるお宅の雨漏り調査を行ったときのものです。塗装屋さんが塗り替え工事をされていて、その工事中に雨漏りが見つかったため、工事を中断して弊社にて雨漏り調査を行っている状況下で撮った写真です。ちなみに、外壁はサイディングボードで、下塗りが終わったところで工事を中断しています(下塗りは白色です)。

 

…さて、これでは何をお伝えしようとしているかがわかりませんね。
問題の箇所をズームしてみます。

 

わかりますでしょうか?雨どいの周辺だけ、下塗りがなされていないのです。

外壁と雨どいとの間には、ハケが入るスペースがあるので、雨どいを養生(塗らないところを汚してしまわないようにビニルシートなどで覆い隠すこと)すればサイディングに下塗りを入れることは可能だったはずです。もし、雨どいが外壁にピッタリとくっついていたとしても、その境界まで塗装するのは当たり前ですよね。

「下塗りなんか、どうせ上塗りをかければ見えなくなってしまうので、面倒だからこまごました箇所は塗らないでおいた」ということなのです。

こんな感じで塗装している現場は、正直とても多いです。と申しますか、実は、こんなふうな現場が大半だとさえ感じています。みんなそうやっているのですから、こちらの現場の職人さんも、こうやって下塗りをすることに、特に罪悪感は抱いていないはずです。

 

こんなことが常識になっているので、弊社では、手間の違いによって数種類の見積をお出ししているのです。

特徴2:「オプション工事」の多さ

 

また、弊社の見積は、オプション工事が多いのも特徴です。

それは、大原則として、調査報告書に記載された内容を踏まえた見積となっているからです。

こちら(リンク先に飛びます)でも書きましたが、調査をせずに見積を出すなどありえないことです。

ですから、見積書と調査報告書は、必ずワンセットにしてご提出いたしております。

当然、綿密な調査を行うことによって、個々の建物に特有の不具合・弱点が浮かび上がってくるため、塗装工事の範疇にとどまらない工事が多くなるのです。

 

弊社が、そういった項目を「オプション工事」としている理由は、みなさんが相見積を取るようになったからです。

 

「相見積を取る」というムーブメントが起きてから、見積を塗料のグレードと金額で比べるお客様が増えました。

でも、工事の品質においては、「どんな塗料を使うか」など、取るに足らない要素です。

 

改修工事(塗り替え工事)の品質は、次の2つに集約されます。

 

1.個々の建物の不具合・弱点を、どれだけ詳細に把握しているか。

2.どれだけ手間をかけて施工するか。

 

そこで、塗料の種類によらない、「不具合・弱点の把握」と「施工手間」をフォーカスするために、他社の見積と比較しやすいように、他社が行わないような、ただし、非常に重要な内容を「オプション工事」としたのです。

特徴3:「オーダーメイド」の見積

 

弊社の見積についてご説明する際に、こういった言い方をすることが多いです。

 

「レストランのメニューのようなものです」

 

みなさんが、レストランでフルコースを頼むとしましょう。

メニューを見ながら、前菜はこれ、サラダは、スープは、メインは肉?魚?…
と、食べたいものを選んでゆくでしょう。

そんな「メニュー」を提供するのが、弊社の見積です。

それは、あくまで、業者の都合ではなく、お客様の思いを反映したいからに他なりません。

 

そのことに関し、ぜひみなさんに知っていただきたいことがあります。

 

それは、弊社では「おすすめ」を提示しない、ということです。

 

業者によっては、見積に「おすすめ」と記載していたり、担当者が特定のグレードをすすめたりしているようですが、それはよくないと思っています。

 

なぜなら、業者の都合が反映されてしまうからです。

 

それは、売り手の側に立てばわかることです。

たとえば、特定の塗料のキャンペーン期間なら、その塗料を多く使ったほうがコンテストの上位になって表彰されるため、お客様の意向や、建物の状況を踏まえずに、その塗料をすすめてしまうことは十分に考えられます。

そうでなくとも、在庫品があれば、それを先にさばいてしまいたいと思うのは、何ら不思議なことではありません。 

でも、そういったことでは、お客様の考えや願いに寄り添うことは難しいですよね。

 

ですから、我々は、原則「おすすめ」しないのです。

 

もちろん、お客様との打ち合わせが十分に取れ、ご意向が分かった段階では、そのお考えに沿った仕様をおすすめすることはあります。

それでも、お客様から「なにがおすすめですか?」と聞かれるまでは、こちらから提案することはありません。

それが、お客様に寄り添うことにつながると思っているからです。

特徴4:わかりづらい見積です

このように、お客様へ、工事の本質を伝え、ご意向を最大限踏まえようと考えた結果、普通の見積ではない、たいへんわかりづらいものとなってしまいました。

でも、あえて、一般的なものに寄せていないのです。

それは、一般的な塗り替え工事が、私が考えるところと大きくかけ離れていることが、最も大きな理由です。

ですから、お客様に、そもそものイメージを変えていただく必要があります。

それには、紙面でお伝えできる情報ではまったく足りないのです。

したがって、必然的に、見積がわかりづらくなってしまいました。

 

そこで、お願いがございます。

 

見積書だけで判断せず、ぜひとも、お会いしてディスカッションしていただきたいのです。

 

そうでなければ、こちらが思っていることは、ほとんどお伝えできないからです。

 

そのところを、ぜひとも汲み取っていただければと思っています。