【完工事例】[20.9.1]藤沢市I様邸・雨漏り再現調査(担当:能登広)
物件データ
施工中リポート
2020年9月1日 散水調査
建物外観
雨漏り診断士の資格所持者が、
疑わしい箇所に水をかけて漏水箇所を特定する「散水調査」を行います。
調査①
屋上床、防水破損部付近へ散水しました。
2020/8/27 9:05~11:05
漏水再現しませんでした。
調査②
屋上塔屋北面窓上部より、2m散水しました。
2020/8/27 11:10~13:10
漏水再現しませんでした。
調査③
屋上塔屋北面外壁笠木下より、約4m散水しました。
2020/8/27 13:15~15:20
漏水再現しませんでした。
調査④
屋上床、防水破損部付近へ散水しました。
※調査④では、室内の換気扇を回し負圧状態とし、調査①と同じ場所の散水を行っています。
2020/9/1 9:25~12:25
漏水再現しませんでした。
調査⑤
屋上東面笠木へ、約4m散水しました。
※この際に、東面外壁に水が垂れない様に養生を行っています。
また、換気扇を回し室内を負圧状態としています。
2020/9/1 11:35~13:35
漏水再現しませんでした。
調査⑥
屋上北西側排水ドレンへ散水しました。
※この時、室内換気扇を回し室内を負圧状態としています。
2020/9/1 13:36~16:06
漏水再現しませんでした。
調査⑦
屋上西面笠木、手すり支柱根元へ散水しました。
※この時、東面外壁へ水が垂れないように養生を行っています。
2020/9/4 9:25~12:25
ただし、10:52に赤外線及び水分計での反応がありました。
赤外線などでの反応が見られたものの、水が垂れるなどの具象が起こらなかったため、12:25まで散水を行いました。
漏水再現(約87分)
調査⑦
リビング室内天井梁下部分に、赤外線で反応が見られました。
青色の部分が濡れている箇所です。
調査⑦
赤外線で青色の反応が出た箇所を水分計で測ったところ、48.2%となり、濡れていることがわかります。
調査⑦
赤外線で反応が出ていない箇所を水分計で測ると7.2%となり、先程の箇所が濡れていることが明らかになりました。
調査⑦
また、リビング室内天井梁下の西側の内壁との取り合い部に水分計で測ったところ、43.5%となり、この箇所の濡れていることがわかります。
調査⑧
屋上塔屋床へ散水しました。
2020/9/4 12:45~14:45
漏水再現しませんでした。
以上、散水調査の結果、漏水箇所を特定しました。
総合所見
屋上西側の手すり根元のアルミ笠木内部より、雨水が浸入していると思われます。
したがって、当該雨漏りは、原因となる雨水浸入位置が1箇所であり、雨水浸出位置が複数箇所である「複数浸出雨漏り」です。
アルミ笠木内部は防水層が存在していないか、または防水層に不具合が存在している可能性があります。
笠木の内部へは、笠木の接合部や手すり根元の接合部などから浸入していることが考えられますが、
そもそもそういった部位においては完全に止水できる製品設計にはなっていないため、
中長期的に雨漏り具象を発生させないためには、それら接合部を止水するだけでは不十分です。
鉄筋コンクリート造建築物(RC造)の屋上において、新築時の屋上床防水はアスファルト防水の上モルタル押さえ仕様が一般的ですが、笠木部分においてはそういった防水処理がなされていないこともあります。
したがって、笠木にひび割れなどが発生した場合には、雨漏りが発生する可能性があります。
そこで、根本的な解決を図るためには、不具合が発生していると思われる部位のアルミ笠木をはがし、内部の笠木に防水処理を施す必要があります。
また、破損している防水塗膜(屋上床や西側排水口付近)が見受けられるため、
将来的にはそこから雨漏りが発生する恐れがありますので、屋上全体に防水処理を施すことを推奨いたします。
ありがとうございました。