【設計の自由度と規制法と責任の所在】X(ツイッター)を更新しました

> 建築用語は多種多様で素人施主は理解するだけでも大変。施工業者に製造物責任法を適用できないのでしょうか。走る凶器になりうる自動車についてユーザーがメーカーの仕事をチェックする必要は無いのに家造りだと素人施主にも責任があるのはおかしいですね。

ありがとうございます。

不動産についてPL法の適用が除外されている理由を調べてみました。① その紛争の大部分が契約当事者間における目的物自体の補修や損害賠償等に関するものであり,契約責任で対応が可能である,② 第三者に対する被害については,土地工作物責任により被害者の救済が図られている,③ 製造物責任法が妥当する分野としては,大量生産・大量消費という形態が当てはまる最終製品たる動産が一般に考えられており,EC諸国でも不動産は製造物責任の対象とはされていない,④不動産は耐用年数が長く,その間の劣化や維持・補修を十分に考慮する必要がある,等らしいです。

ですから、貴兄のご見解に関しては、①と②から、施工会社には一定の契約不適合責任が発生するという見解が大勢です。

ただ、個人的には、PL法が建築物に適用されない理由が他にもあると思っています。それは、建築基準法をはじめとした規制法等を強化すると、設計の自由度を侵してしまうという点です。日本の建築業界で最も名が通っているのは建築家ですが、ガイドラインなどによる規制を高めると、彼らのアイデンティティを奪ってしまうことになるからです。

しかしながら、建築は芸術作品ではありません。使用を前提としている造作物です。ですから、個人的には、耐久性を高めるための基準や雨露を凌ぐという基本的な性能に対しては、設計者が一定の責任を負うべきであると考えます。

ただし、PL法の対象物である動産だとしても、消費者が注意を喚起し続けることは必要です。法律ですべての損害をカバーすることは不可能だからです。したがって、動産・不動産にかかわらず、消費者が思考を停止しないことが必要です。

究極、自分の身は自分で守るしかありません。そのことから、私は消費者への啓蒙活動が、消費者利益を守るための最も合理的な方法であると考え、このような発信を続けています。