【追加工事を認めないという選択の是非】X(ツイッター)を更新しました

実はこの現場ですが、既存の板金を撤去したら、下地の木材が濡れていました。その時点で何週間も降雨がなかったので、原因は雨水の浸入ではありません。そうなると、残る可能性は(冬型)結露となります。

当初の計画では、腐朽した下地木材を撤去し、新規に下地を組んで板金をかけ、その後に縦枠も板金で覆って雨仕舞を担保しようとしていました。でも、結露が発生したことが明らかになったのであれば話は変わってきます。下地を組まずに、結露水が速やかに外部に排出されるようにしなければなりません。

このように、実際施工してみると、撤去した段階で新たにわかることがたくさんあります。もちろん、設計変更も余儀なくされます。

ここで問題になってくるのは、施主のありようです。

もし、追加工事を認めない、あるいはなるべくコストをかけたくないという意向を施主が有していたら、どうでしょうか?

そういった施主の現場では、よかれと思って現況を説明しても、かえって非難されるのは想像に難くありません。ですから、実務者は何事もなかったかのように、もともとの仕様通りに施工して引き渡すこととなるでしょう。そして、冬が来るたびに下地は腐朽し続けるのです。

そこで、消費者の皆さんに質問です。病気になって治療を受ける際、先に見積を出させて、金額によっては治療を受けない判断をする方はいるでしょうか?

この話をすると、「人の命と建物の耐久性とは重さが違う」と言われることが多々あります。でも、その観点は原則医療に見積がないことの要点を押えていません。

人間であろうが建物であろうが、現存しているものを治す(直す)方法は、人(建物)の数だけ存在します。そして、治療(工事)を行っている過程で治療法(施工法)を変更することは当然あり得るのです。だから、厳密に言えば、治す(直す)という目的と、事前に治療(施工)金額を確定させることは、矛盾するのです。

これが、(原則)医療に見積がないことの最も大きな理由です。

不適切な施工は、施主、すなわち消費者の固執した考えが端緒になっていることが誘因となりうることは、認識すべきであると考えます。

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