【「外壁通気層」ではなく「外壁排水層」】X(ツイッター)を更新しました

こちらのお宅はサイディングの厚みが12ミリです。サイディングと水切りとの間に“さしがね”を入れたところ、奥から約27ミリでした。このことから、15ミリの通気層があることがわかります。

通気層は、重力換気にせよ風力換気にせよ、両端が開放されることにより初めてその効果が発揮されます(当然ですが)。でも、屋根の棟部を見てみると、換気棟が設置されていません。こちらのお宅は軒ゼロの片流れ屋根で、外壁の頂部が棟板金で覆われるような設計です。

というわけで、通気層があっても、通気していないことがわかります。

とはいえ、この空間(=“通気層”)は、まったく意味がないとは言い切れません。サイディングがひび割れを起こしたり、目地のシーリングが破断したりして、雨水がサイディングの内側に浸入した際には、この空間を伝って水切りから外部に排出されます。これは、雨漏り対策としてたいへん優れた仕組みです。

構造材と外装材とでもたらされるレイヤーは、上端が閉塞されていても、下端が開放されていれば、建物の維持延命において非常に有効なのです。

かねてから申しているように、この層は「通気層」である前に「排水層」なのです。