【完工事例】[21.11.8]藤沢市N様邸・雨漏り再現調査(担当:能登広)

物件データ

施工中リポート

散水調査

建物外観

雨漏り診断士の資格所持者が、
疑わしい箇所に水をかけて漏水箇所を特定する「散水調査」を行います。

 

調査①

北面2階バルコニー出入口ドア下、床と外壁との取り合い部へ、約2m幅で散水しました。

2021/11/8 8:50~10:12
漏水再現(約72分) しました。

 

調査①

北面1階ガレージ出入口ドア上天井内部、梁付近より浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査②

北面2階バルコニー出入口ドア枠、上部両入隅組み付け部へ、シャワーヘッドにて散水しました。

2021/11/8 10:15~10:21
漏水再現(約6分) しました。

 

調査②

北面1階ガレージ出入口ドア上天井内部、梁付近より浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査③

北面2階バルコニー出入口ドア上部外壁、屋根ケラバ板金下より、約2m幅で散水しました。
(※この時、出入口ドアに水が掛からないように養生を行っています。)

2021/11/8 10:40~10:47
漏水再現(約7分) しました。

 

調査③

北面1階ガレージ出入口ドア上天井内部、梁付近より浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査④

北面2階バルコニー出入口ドア横、外部コンセント廻りへ、シャワーヘッドで散水しました。

2021/11/8 10:50~12:20
漏水再現しませんでした。

 

調査⑤

北面2階バルコニー出入口ドア上部より、シャワーヘッドで散水しました。
(※この時、出入口ドアに水が掛からないように、養生を行っています。)

2021/11/8 12:21~12:22
漏水再現(約1分) しました。

 

調査⑤

北面1階ガレージ出入口ドア上天井内部、梁付近より浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑥

北面2階バルコニー上部、下屋根上外壁屋根板金下より、約2m幅で散水しました。

2021/11/8 12:38~14:08
漏水再現しませんでした。


以上、散水調査の結果、漏水箇所を特定しました。

 

総合所見

雨水浸入位置および浸出位置について

① 北面2階バルコニー床と外壁の取り合い(出入口ドアがある面)

② 北面2階バルコニー出入口ドアと外壁及び化粧幕板との取り合い付近

③ 北面2階バルコニー出入口ドア(組み付けなどのすき間)

が雨水浸入位置として確認されました。
また、雨水浸出位置は、いずれも北面1階ガレージ出入口ドア付近の天井です。

 

雨漏りの原因について

雨水浸入位置が①、②、③の3箇所であり、雨水浸出位置が1箇所であることから、当該雨漏りは、原因となる雨水浸入位置が複数箇所であり、雨水浸出位置が1箇所である「複数浸入雨漏り」です。
まず、床防水においては、単に立ち上がりを設ければよいというものではありません。
床防水の立ち上がりの前面に2次防水層(後述)が重なっていなければなりませんが、そのような納まりになっておりません。
したがって、2次防水層の表面を伝った雨水は、床防水立ち上がりの表面ではなく内側に入り込んでしまうことになります。
次に、ドア枠ですが、歪んでいるため枠内外に多くのすき間が発生していると思われます。
ドア枠は中空なので、いったんドア枠内部に浸入した雨水が下方のドア枠外に流れ出していると推測されます。
また、ドア枠上部の外壁ですが、木造建築物の防水構造について触れる必要があります。
木造の建築物において、最終的な止水は外気に触れている外壁の表面ではなく、外壁内部の防水シート(アスファルトフェルト等)が担っています。
外装材(塗膜やモルタル・外装パネルなど)を1次防水と呼ぶのに対し、この防水は2次防水と呼ばれています。
この2次防水層に発生した何らかの不具合、または新築時からの納まりの不備などによって雨水が浸入していることは明らかです。

 

改修設計について

  • 雨水浸入位置①からの雨漏り具象に関しては、床防水層の立ち上がり部が外壁に隠れてしまっているため、適切な納まりとなっているか否かの判断ができません。
    また、外壁の2次防水層と床防水層との納まりが適切ではないことは明確です。
    したがって、新規に防水層を設けることが必要になってまいります。
  • 雨水浸入位置②からの雨漏り具象に関しては、先に触れた通り、2次防水層の不具合が発生していることは明らかです。
    したがって、解決を図るには、不具合が発生していると思われる部位の外壁をはがし、2次防水の最適化を図る方策が、まず思い浮かびます。
    ただし、本来、床防水層の立ち上がりの前面に2次防水層がかからなければならないところ、既存の納まりはそうなっていないことから、単に既存の外壁2次防水層の不具合を解消しただけでは、当該2次防水層と床防水立ち上がりとの取り合いから雨水が浸入する恐れがあります。
    そこで、既存外壁の表面に新たに2次防水層を施し、さらにその表面に1次防水層、すなわち新しい外壁を作る方法を取ることが、最も合理的であると考えます。

雨水浸入位置③からの雨漏り具象に関しては、次の3つの理由から、新規ドアへ交換することが望まれます。

  • 雨水がドア枠内に浸入し、下方のドア枠外に移動していると推測されることから、ドア枠内部を止水する必要があるが、枠内は施工ができないこと。
  • ドア枠が歪んでおり、今後もドア枠が挙動し続けることが推測されることから、ドア枠の隙間や穴を塞いだとしても、まもなく破断し雨漏りが再発してしまう恐れが高いこと。
  • ドア枠を取り付ける前にドア下枠の下地までバルコニー防水を施し、その上でドアを設置することが適切な納まりであるが、そうなっていないこと。