【完工事例】[21.6.24]東京都I様邸・雨漏り再現調査(担当:能登広)
物件データ
施工中リポート
2021年6月24日 散水調査
建物外観
雨漏り診断士の資格所持者が、
疑わしい箇所に水をかけて漏水箇所を特定する「散水調査」を行います。
調査①
南面2階バルコニー、浸出位置直上、バルコニーデッキと外壁との取り合い部へ、約2m幅で散水しました。
2021/6/24 9:00~10:30
漏水再現しませんでした。
調査②
南面2階バルコニー、浸出位置直上西側塩ビ配管廻りへ散水しました。
2021/6/24 10:30~10:30
漏水再現(約0分) しました。
調査②
南面1階食堂折り上げ天井玄関側木枠中央付近より浸出しました。
浸出箇所を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。
調査③
南面2階バルコニー、浸出位置直上2階洋室窓の窓枠と戸袋との組み付け部分へ散水しました。
2021/6/24 13:04~13:06
漏水再現(約2分) しました。
調査③
赤丸の部分に隙間があり、この部分に水が掛かると雨水が浸出します。
調査③
南面1階食堂折り上げ天井玄関側木枠角より浸出しました。
調査③
赤外線で反応があった部分を水分計で計ったところ、測定最大値を超えました。
調査③
位置をずらし水分計で計測したところ、2.7%でした。
先程の箇所が濡れていることが分かります。
調査④
南面2階バルコニー、浸出位置直上2階洋室窓上部外壁、軒裏との取り合い部より、約2m幅で散水しました。
※この時、窓に水が掛からないように養生を行っています。
2021/6/24 13:50~15:00
漏水再現(約70分) しました。
調査④
南面1階食堂折り上げ天井玄関側木枠角より浸出しました。
2021年6月26日
調査⑤
南面2階バルコニー笠木、南側及び西側の各約2m幅で散水しました。
※この時、バルコニー腰壁の外側に水が掛からないように養生を行っています。
2021/6/26 8:59~10:29
漏水再現しませんでした。
調査⑤
調査⑤において、室内への漏水は確認されませんでしたが、散水箇所の直下の土台水切り板金から水が垂れており、外壁サイディング内部に水が浸入していることが確認されました。
調査⑥
南面2階バルコニー、浸出位置直上2階洋室窓上部外壁より、約2m幅で散水しました。
※この時、窓に水が掛からないように養生を行っています。
2021/6/26 10:35~12:05
漏水再現しませんでした。
調査⑦
南面2階バルコニー、浸出位置直上西側外壁へシャワーヘッドで散水しました。
※この時、調査②の部分に水が掛からないように養生を行っています。
2021/6/26 13:07~14:37
漏水再現しませんでした。
調査⑦
調査②の部分に養生を行い、水が掛からないようにしています。
調査⑧
西面2階バルコニー部分外壁、笠木下より約2m幅で散水しました。
2021/6/26 14:38~16:08
漏水再現しませんでした。
以上、散水調査の結果、漏水箇所を特定しました。
総合所見
南面2階バルコニーの西側外壁の塩ビ管廻りの隙間、また、南面2階窓の戸袋との組み付け部分の隙間、南面2階窓上部外壁の隙間などから浸入し雨漏りが発生していると思われます。
また、いずれの雨水浸入位置においても、内部防水シートなどの不具合により、2次防水を突破して浸入していることがうかがえます。
木造建築物において、最終的な止水はサイディング内部の防水シート(貴邸においては透湿防水シート)です。
外装材(塗膜やモルタル・外装パネルなど)を1次防水と呼ぶのに対し、この防水は2次防水と呼ばれています。
したがって、根本的に理に適った状態とするためには、不具合が発生していると思われる部位のサイディングをはがし、2次防水を最適化する必要があります。
また、外壁表面の隙間などを埋めることにより、雨水の浸入を防ぐことは、理論上は可能ですが、すべての隙間を見つけ埋めてゆくことは現実的には極めて難しいです。
また、経年劣化などにより隙間が出来てしまった際には、雨漏りが再発する可能性があります。
さらには、サイディング内部の二次防水(防水シートなど)の不具合を直していないため、サイディングに新たに穴を開けたり新たなひび割れが発生するたびに雨漏りしてしまう恐れもあります。
戸袋内部からの雨漏りについては、組み付け部分の隙間などをシーリングや防水テープなどにより隙間を塞ぎ、浸入を防ぐ構造にする必要があります。
ありがとうございました。