サイディングボードの外壁塗装を行う前に知っておきたいこと

 

外壁塗装や屋根塗装を考えた時、外壁がサイディングの場合、ジョイント目地に打たれたシーリングの破断や亀裂が気になって…という方は多いのではないでしょうか。
また、突然訪ねてきた業者に「お宅の外壁、大変なことになってますよ!」と言われ、破断したシーリング目地を見せられた方も意外と多いのでは。
今回はそんな時でも焦らずに対応できるよう、サイディングボードとシーリングについてお話しさせていただきます!

 

サイディングって何?

サイディングとはモルタルやタイルなどと同様、外装材の一種で、大きく分けて4つの種類があります。


・窯業系サイディングボード
・金属系サイディングボード
・樹脂系サイディングボード
・木質系サイディングボード


いずれもパネル状になっており、寸法を合わせて張り付けてゆきます。
一般的には窯業系サイディングボードと言ってセメントに繊維質を練り込んで高温処理したものが主流ですが、近年では金属系サイディングボードもデザイン性が豊富になり、性能の向上や軽量なことなどからそのシェアを伸ばしています。

今回は外壁塗装・屋根塗装などのメンテナンスを考える時の参考にしていただきたいので、リフォームではまだ圧倒的に件数の多い『窯業系サイディングボード』について詳しく見てゆきたいと思います。

サイディング壁の構造

窯業系サイディングボードを使用した木造建築の場合、左図のような構造になっています。

※印の胴縁・ハットジョイナーは初期のサイディングボードにはないことも多く、その場合通気層』(透湿防水シートとサイディングの間の空間)がないため、湿気が溜まりやすく、サイディングボードが痛みやすい傾向にあります。
このような工法を『直張り』と呼びます。

劣化現象

チョーキング

塗膜表面が粉状に劣化する現象で、手で擦ると写真のように粉状になった塗膜が付着することで判断できます。

シーリングの劣化

こちらは界面剥離と呼ばれる現象です。

シーリングのひび割れ

破断しポロポロと抜け落ちています。

酷くなるとサイディングボード自体にひびが入ります。

反り返り

写真は分かりにくいですが、奥のサイディングボードが少し出っ張っているのがわかるでしょうか?

外壁のひび割れ

大切な我が家にこんな現象が起こったら確かに気になりますが、あせらずに、もう一度構造を見てみましょう。

私たちが普段目にする一番表面に出ているサイディングボードやシーリングを一次防水と呼びます。
対して、普段目にすることがないサイディングボードの奥に隠された透湿防水シートなどは二次防水と呼ばれます。

一次防水は紫外線や風雨にさらされ、どうしても劣化してしまい、先に紹介したような劣化現象が起きてしまいます。
しかし、たとえシーリングの破断やひび割れなどから雨水が浸入したとしても、二次防水である透湿防水シートなどが雨水を食い止め、室内に雨水が入ることを防ぎ、大切な柱などを守ってくれます。
二次防水はとっても頼もしい存在なのです!

ということは…
訪問販売や定期健診などで『お宅の外壁や屋根がこんなことになってます! 今すぐメンテナンスしないと大変なことになりますよ!』なんて脅し文句は無視してもよいのではないでしょうか。
劣化現象は冷静に受け止め、メンテナンスの時期がきたことのサインと捉え、そろそろ考えていかなくちゃいけないな~くらいで、個人的には良いと思います。

但し、室内に異変がある場合や部分的に極端な劣化がある場合には二次防水がきちんと施工されていない可能性があるので注意が必要ですし、直張り(※上記、サイディング壁の構造をご覧ください。)の場合には湿気がこもりサイディングボードの劣化が促進されてしまいます。
通気層 (※上記、サイディング壁の構造をご覧ください。) がある場合であっても、胴縁が腐ってしまったり、サイディングボード自体の痛みも出てきますので、焦らず、慌てず、冷静に対応しましょう!
判断が難しい場合には、信頼できる業者さんに相談してみましょう!

補修方法

外壁塗装を行う際には、一次防水の状態を見極め、メンテナンスしないと意味がないですよね。
塗るだけではメンテナンスをしたことにはなりません

今回はシーリングの補修方法について見てみることにします。

既存のシーリングの撤去

既存のシーリングは撤去しましょう!
また、事前にシーリングが絡む配線や配管等は撤去し、なるべくひと続きで施工ができるよう準備します。配線などを外さない業者さんも多くいらっしゃいますが、配線の裏のひび割れから雨水が浸入していたという事例もありますのでチェックしたいところです。
サッシ廻りなどで切込みを入れることで逆に不具合が起こる可能性がある場合、十分な打ちしろが確保できる場合には状況に応じて部分撤去や増し打ちなども考えられます。

絶縁テープ貼り

目地の底部を絶縁することで、目地の両側面のみにシーリング材が接着する『二面接着』が確保され、動きに追従しやすくなるため耐久性の維持が期待できます。

プライマー塗布

両側面にしっかりと塗り込んでゆきます。

シーリング材充填

シーリング材を充填しているところです。
外壁塗装を行う場合には変性シリコン系シーリング材もしくはウレタン系シーリング材を使用します。

ヘラ均し

充填したシーリング材を均しているところです。
場所に応じて均しベラの種類を変えます。

均し終わったら養生をはがして完成です!

覚えておきましょう!

①外壁塗装だけではメンテナンスにはなりません。健全な下地あっての外壁塗装です。

②一次防水の下には二次防水という頼もしい存在があります。今すぐメンテナンスをしないと大変なことになる! などという脅し文句は無視! 焦らず、慌てず、冷静に対応しましょう!

③室内にできた異変や部分的な激しい劣化は注意すべし。判断が難しい場合には信頼できる人に相談しましょう!

いかがでしたか?
わからないこと、不安なことなどありましたら、リペイント湘南へお気軽にご相談ください。^^