【天は自ら助くる者を助く】X(ツイッター)を更新しました

外皮の、特に断熱層の外側に関しては、設計者・管理者・施工者のいずれも認識に甘いところがあると感じています。私が考えるその原因は、消費者の興味関心が薄いことです。

家を買おうとする消費者が気になる点として、【外観】【間取り】【設備の機能】【厚さ・寒さ対策】【耐震性・耐久性】などが挙げられるでしょう。とりわけ、【厚さ・寒さ対策】【耐震性・耐久性】は、高性能住宅の要件となります。

高性能住宅に求められる要件として、あるサイトでは、断熱性・気密性・耐震性・耐久性の4つを取り上げていました。このうち、断熱性についてはUA値、気密性についてはC値という具体的な数値で定量化されています。数値であれば優劣が一目瞭然なので、消費者の関心も高くなります。

残りの耐震性・耐久性ですが、注目度の差はメディア露出の数と強さの差であると思っています。大地震が起こるたびに繰り返しショッキングな映像が流されることにより、地震に対する恐怖心が消費者の潜在意識に刷り込まれます。かたや、耐久性に関してはニュースにも映像にもなりづらいため、消費者が意識を向けることは極めて低いというのが私の印象です。耐震性に関しては耐震等級、耐久性に関しては劣化対策等級という指標がありますが、関心を惹くのは圧倒的に耐震等級であるのが、現下の消費者マインドなのでしょう。

企業は営利を目的としている以上、消費者の嗜好に沿った活動をしてゆくのは当然です。ですから、実務者の知識不足・勉強不足は、すなわち消費者の興味関心の不足といえるのではないでしょうか。

添付資料は、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられる電話相談件数の推移と、実際に保険金が支払われた事故案件の内訳です。長期優良住宅認定制度が開始された2009年以降も相談件数は減少することはなく、また、事故案件の70パーセント以上は雨水の浸入防止部分であることから、建築後における最も大きな問題は劣化であることは明らかです。にも関わらず、消費者の関心が低いことが、この分野の技術や品質向上に対する最も大きな弊害といえるでしょう。

「天は自ら助くる者を助く」

マイホームを考えている、また、お住まいの外装リフォームを考えている多くの方に、この事実を感じていただきたいと思っています。