【品質と時間との関係】X(ツイッター)を更新しました

検査機関の検査がアバウトであるという話を聞くことがあります。

そのことについて検査機関の知り合いに問うと、そもそも検査機関のクライアントは施工会社なので、「早くやれ」と言われれば従わざるを得ないと言っていました。急いで行うルーティンが身についてしまうと、いざ丁寧な検査を求められるようなシチュエーションに遭遇しても、そうできなくなってしまうようです。

また、日本の建築契約においては、引き渡しが遅れたことに対するペナルティーの比重が諸外国に比べ高いと感じています。2月にカナダ(バンクーバー)に視察に行った際、住宅の施工現場で施主に話を聞く機会がありましたが、施工期間は15か月もあり、その上、意図的でなければ遅延に関しては問わないそうです。その理由は、無理に施工してほしくないということでした。例えば、木材を雨に濡らさないように気を付けることより、雨に濡れた木材はきちんと乾くまで次の工程に進まないことのほうが重要であるとの認識です。

たしかに、「職人技」を駆使した、いわゆる「逸品」とよばれる製品は、十分な時間をかけ、丁寧に手間暇をかけて作り上げたものだというイメージがあります。締め切りに追われるような急ぎ仕事で品質も高いものなど想像できません。

率直に申し上げて、職人を用いている業種でありながら、品質を裏付ける根拠に「時間をかけた」という要素が入っていないのは建設業だけではないでしょうか。

今述べたようなことは社会的な観点における考察であり、建築技術の理解度などまったく必要ありません。消費者が建築における品質を把握する指標は、探せばいくらでもあるのです。