【化粧モルタルの肌別れとひび割れ】X(ツイッター)を更新しました

このひび割れは、基礎本体ではなく化粧モルタルのひび割れです。

型枠を外した後のコンクリートは巣穴が目立ち、さらにセメントと砂利の分離や締め固めの不足、型枠下端からセメントペーストの漏れといった要因で骨材が凝集・露出する「ジャンカ」と呼ばれる現象が起きていることもあります。そこで、見た目を整えるためにモルタルを塗って仕上げることを「化粧モルタル仕上げ」といいます。

コンクリートとモルタルの違いは、骨材が入っているか否かです。骨材とは、砂や砂利のことです。そして、コンクリートに骨材を入れる理由は、水和反応を鈍化させることです。

セメントは水と接触すると化学反応を起こしますが、この反応を水和反応と呼びます。水和反応によって析出される物質(水和生成物)がセメント粒子間のすき間を埋めることによって強度が発現してゆきます。しかしながら、これによって発生する水和熱によってコンクリートの温度は上昇します。コンクリートは温度が高くなると膨張し低くなると収縮することから、水和熱による温度上昇に伴う膨張とその後の温度降下に伴う収縮が起こります。その際、コンクリートが自由に収縮できない状況(外側が拘束され収縮できないような状況)にあると、コンクリート表面に引張の力が働き、ひび割れ(温度ひび割れ)が生じてしまうことがあるのです。そこで、骨材を入れることにより、セメントの占める割合を減らし、全体の発熱量を少なくすることで、打ち込んだ箇所でひび割れなどの品質低下を防いでいます。

かたや、モルタルは薄く塗り伸ばして使うため水和熱が発生しづらく、また、主に平滑な面を形成する用途に用いられるため、骨材は配合されません。

さて、化粧モルタル仕上げの基礎においてよく発生する不具合に、肌別れがあります。基礎工事は建築工事の前半に行われます。かたや、化粧モルタル塗りは最終盤の工程です。コンクリートは水和反応による硬化が進行すると、だんだんと新たな水和反応を起こしづらくなります。ですから、化粧モルタルをしっかりと密着させるためには、型枠を外してからなるべく間を置かずに塗ってゆくことが求められますが、化粧モルタルは塗ってキレイに見せることが目的なので、どうしても最終工程に近くなってしまいます。そこで、モルタルを塗る前に、コンクリート表面のアクを洗い流したり、電動工具で傷をつけたり、プライマーをしっかり塗ったりして、密着性をよくすることが必要です。でも、そういった手順を踏まずに塗っていることが多いのです。

写真をよく見ていただくと、モルタルが外側に膨らんでいるのが確認できます。したがって、このひび割れは、基礎コンクリートと化粧モルタルが肌別れを起こし、その結果としてひび割れを発生させていることがわかるのです。