【基礎塗装について】X(ツイッター)を更新しました
引用元の続きです。
本件において、肌別れを助長させた誘因があります。それはやはり水分の介在です。
引用元の画像にラインを入れてみました。このラインの上下で色が異なっているのがわかるでしょう。ラインより下は水染みのように見えますが、実際、地面からこの高さまで水が吸い上がっているものと思われます。吸い上げの動力は毛細管現象です。地面から色が変わっている高さまで水を吸い上げています。
基礎における吸水現象は、私の印象では主に化粧モルタル仕上げにおいて発生します。コンクリート打ち放し面でも多少は起こりますが、ここまで顕著にはなりません。型枠コンクリートより左官用モルタルのほうが粗面で吸水しやすいことと、コンクリートとモルタルの境界においても毛細管現象が発生しやすいなどの理由があると推察されます。
上記により、基礎が含水するのは、主に地面からの吸い上げであることがご理解いただけたことでしょう。
さて、近年、基礎用に特化した塗料が各メーカーから上市されています。あるサイトでは、基礎塗装による効果として、①基礎の吸水性を抑える ②防水性が高まる ③コンクリートの中性化を抑える ④美観性が高まる ⑤カビ・コケの発生を抑える が挙げられていました。
このうち、①・②については、水分は地面から供給されることが圧倒的であるため、効果は極めて限定的です。そもそも、画像のように土台水切りがついている建物であれば、雨がかかることはほぼありません。③については、中性化によって問題となるのは爆裂現象ですが、今まで基礎が爆裂した建物にほとんど遭遇したことがないため、この効果も疑わしいです(※引用元をご参照ください)。残る④と⑤については、ともに美観に関する要素であり、基礎の耐久性とは関係ありません。しかも、後述しますが、基礎用塗料は造膜させることができないため、美観についても際立った効果は期待できません。
逆に、デメリットとして、基礎コンクリートや基礎内部の湿気が排出しづらくなってしまうという点が、最も大きな問題であると考えます。基礎専用塗料が造膜しないタイプだったり透湿抵抗値が低いものであったりするのはこの理由からです。水分は地面から供給され続けるメカニズムになっているので、膜をつくればフクレやハガレが起きる恐れが高まるからです。
まとめれば、基礎塗装においては、美観というベネフィットがある反面、基礎自体や基礎内部の湿気を滞留させてしまうというリスクを伴うというトレードオフ関係にあるのです。私は、ベネフィットに対してリスクが大きすぎると捉えます。だから、私が施主なら基礎塗装はしません。新築時の化粧モルタルも、基礎の耐久性を考えるのであればかえって邪魔です。