【見た目の劣化と耐力劣化とは非なるもの】X(ツイッター)を更新しました

> このアスファルトシングルという昆布屋根材のメリットは日本においてはコストしかないわけだけど、メンテナンスコストまで考えたら一番高くなりそう。

ありがとうございます。 確かに、私もアスファルトシングルは日本の気候風土には不向きな屋根材であると考えます。ただし、一般消費者にそのことを認識してもらうのには、相当ハードルが高いとも感じています。

なぜなら、人が建物の劣化を感じるのは、その多くが視覚からの情報であるからです。

視覚は、五感のなかでも最も割合が多く、『感覚の王様』とも呼ばれています。五感が受け取る情報のうち、約8割は視覚からの情報で、聴覚は約1割、嗅覚は約3.5%、触覚は約1.5%、味覚は約1%だそうです。

要するに、人は見た目で劣化を判断しがちなのです。

そのことから、化粧スレート瓦材とアスファルトシングルを比較した際に、多くの人は、化粧スレート瓦材のほうが劣化しやすいと感じています。実際、建築系SNSにおいては、化粧スレート瓦材に対し、ダメな建材であるという烙印を押しているサイトやチャンネルが目立ちます。その理由は、化粧スレート瓦材のほうが視覚的なダメージが強いからです。

では、化粧スレート瓦材とアスファルトシングルで視覚的な劣化に違いが起こる原因は何かというと、これは表面仕上げの方法によると言えます。

化粧スレート瓦材は、表面を塗装して仕上げています。かたや、アスファルトシングルは表面に砂粒を吹き付け接着して仕上げています。塗膜は基本的に有機結合しています。反面、砂粒同士はくっついているだけで、化学的に結合しているわけではありません。

塗膜は変色しますが、砂粒はほとんど変色しません。なぜなら、砂粒表層は無機化合物だからです。紫外線の影響を受けるのは有機化合物だけです。焼き物とプラスチックの茶碗を日当たりのよい外部に10年置いておけば、劣化における差は歴然であろうことは想像に難くないでしょう。

そんな化粧スレート瓦材とアスファルトシングルですが、もう一つの大きな違いは、引用元に記しました通り、アスファルトシングルは汎用屋根材の中で唯一屋根材同士を接着させるタイプであるということです。化粧スレート瓦材は基本的に釘留めのみであり、瓦材を半分ずつ重ねて張ってゆくものの接着はさせません。

接着させる屋根材とさせない屋根材、どちらが湿気を逃がすか?このことも想像に難くないでしょう。

※画像は、ともに15年経過したアスファルトシングルと化粧スレート瓦屋根、もう1枚は化粧スレート瓦材の納まりを示したものです。