【アスファルトシングル屋根への塗装について】X(ツイッター)を更新しました
アスファルトシングルに関する見解の続きです。
前回の記事で、シングル材は表面に吹き付けられた砂粒によって変退色しづらくなっていると申し上げました。添付した写真は、築後10年で塗装する前のアスファルトシングルと、同一の物件での塗装後7年経過した後の様子です。明らかに塗装した後のほうが美観的な劣化が顕著です。引用元の記事で述べました通り、せっかく紫外線の影響を受けづらい無機系の仕上げになっているところを、わざわざ有機系の塗膜で覆って紫外線による変色を促進させる必要があるのでしょうか?
また、アスファルトシングルは塗料を吸い込む率が高いため、分子結合体の大きい水系塗料を使用しないとムラになってしまいます。反面、紫外線環境の厳しい屋根においては、分子結合体のユニットが小さい溶剤系塗料のほうが色あせしづらいです。それらの理由により、塗料メーカー各社では、いくら樹脂の結合エネルギーが高くても、水系となるとウレタン樹脂やシリコン樹脂に対する優位性が大きく縮小してしまうため、フッ素系の屋根用塗料は製品化していないのです。
また、塗装すると雨漏りやフクレのリスクが高まります。それを防ぐために重なり部を縁切りしなければならないのですが、そもそもアスファルトシングルは接着されていますので、塗料で埋まった箇所のみ切り離してゆくことになります。
化粧スレート瓦材はもともと張り付いていないので、塗料で埋まってしまった重なり部を切ってゆくことに対しては違和感ありません。対して、そもそも接着しているものであるにも関わらず、塗料で埋まった箇所だけ切り離さなければならないということは、接着させていること自体がよくないと示しているようで、矛盾を感じてしまうのです。
結論として、アスファルトシングル屋根は、表面が変退色しづらい無機材で覆われていること、耐候性の高い溶剤塗料が使用できないこと、塗装することによって雨漏りなどのリスクが高まることなどから、塗装をおすすめしておりません。