【瓦葺きと立平葺きと耐震性と耐久性】X(ツイッター)を更新しました

私は昨年訪熊し、同業でかつ同い年の友人であり、地震後のボランティアの様子がBSフジ『1滴の向こう側』https://youtu.be/E_njq8AaDKw?si=I3rJooNQmFKqGvtTで紹介された、ふじ美塗装の遠山社長に当時の被害状況を案内してもらいました。

遠山氏は、「瓦屋根の住宅の被害が顕著だった」と話していました。彼は当時、被災した住宅の屋根にブルーシートを張る作業を無償で行っていたので、実際そうなのでしょう。

従来の屋根瓦は強い震度で揺れた際に雪崩のように落ちて割れるため、映像としてもセンセーショナルです。そのため、能登地震でも同様らしいのですが、一般市民が有する瓦屋根に対するイメージが非常に悪くなるのは想像に難くありません。

ただし、上記の理由により瓦屋根は地震に弱いと断定するのは、いささか短絡的である気がします。確かに、瓦屋根は重いので、同じ震度でも建物の揺れが大きくなるのは間違いありません。ただし、それが理由ならば、建物の耐震性を高めれば解決するはずです。事実、大地震が来るたびに新築における耐震基準は厳格化されています。

実は、瓦屋根は古い建物に多く使われているという大きい側面があるのです。特に、1981年に耐震基準が大きく改正(新耐震基準)される以前の建物は、瓦屋根葺きの比率が高いです。

また、「防災瓦」をはじめとした、瓦を固定する仕組みは、2000年に施行された品確法の広まりとともにスタンダードとなり、2022年からは義務化されましたが、当然、それ以前は固定されていません。

そもそも従来の日本瓦の特徴として、割れた箇所を1枚単位で交換できるという利点がありました。対してツメのある現行の防災瓦においては、瓦を差し替える際に、ツメを折って接着剤で固定することになります。したがって、同じ箇所を何度も交換することはできません。昔の瓦はとてもエコロジーだったのです。

現在新築を建てる際には、前述の通り瓦の固定が義務化されているので、瓦の重量による耐震性能の低下を懸念される方は、耐震等級を大きくすることによって十分に補うことができると考えています。

最後に、私が考える、立平葺き屋根と瓦葺き屋根それぞれの特徴について触れます。立平葺きは瓦葺きに比べ軽量であることと継ぎ目が少ないことが挙げられます。軽量であることは耐震性能に関してメリットがあり、また、継ぎ目が少ないことは雨水の浸入において有利です。対して、瓦葺きは湾曲しているので下地の防腐性に関しては圧倒的に優れています。立平葺きにも通気構法が設定されていますが、換気量は雲泥の差です。なお、下地(野地板)の腐朽に関しては、雨水浸入の防止よりも通気の確保のほうが優先されます。

したがいまして、耐震性においては立平葺きが、耐腐朽性においては瓦葺きが長じているというのが、私の見解です。