【職方の理解力】X(ツイッター)を更新しました

パラペットの笠木を外してみたところ、下地に防水シートがなく(①)、その下地を撤去するとようやく防水シートが現れてきました(②)。

ここまで読んでいただいている皆さんは、建築に造詣がない方でも、「何かおかしい」と思われたのではないでしょうか。防水シートを張る目的は、雨水が浸入し木材が腐朽してしまうのを防ぐためです。では、なぜ木材の下(内側)に張ってあるのでしょうか。

この施工方法は、かつてハウスメーカーが採用していた、保護用サイディングを裏張りする方法に類似しています。(施工法についての説明は割愛します。“サイディング_裏張り”で検索してください。)

そもそもサイディング裏張り工法自体、今ではNGなのですが、この現場ではサイディングの代わりに木材を使用しています。サイディングは腐朽しないので無理に理解しようとすればできなくはありません(腐朽する代わりに膨潤しますが)。でも、木材が外側、防水シートが内側、というのは、常識的な理解を超えています。

その理由を多角的に推察しましたが、信ぴょう性の高い仮説はひとつしか浮かびませんでした。単に「メーカー仕様のマネをした」ということです。窯業系サイディングの代わりに木材を張った、ということです。つまり、建材の目的と雨仕舞の仕組みを理解せずに施工しているのです。

残念ながら、雨仕舞の知識がなく、また合理的な考察をせずに施工する職方が、皆さんが思っているよりも多いのが現実です。ただし、職方のモラルやリテラシーを改善すれば解決するようなことではありません。問題視すべきは、むしろ業界の社会構造に対してです。

さらに申し上げれば、資本主義経済において、業界の基準は消費者のニーズに沿っていることは間違いありません。ですから、業界を変えるには、消費者のニーズが変わってゆくことが必須であるのです。

(③は下地を設置している様子、④はその下地材の上に鞍掛シートを張っている様子です。)