【アップグレードがアダに】X(ツイッター)を更新しました

バルコニー腰壁の笠木(壁の上端に設置するフタ状の金属部材)の立下りは、壁との間に指が入る程度(およそ10ミリ)の距離を取っておくことが望まれます。壁と笠木とのすき間がわずかであれば、笠木から流れ落ちた雨水が壁を伝うことになりますし、毛細管現象によって雨水が笠木の内側に回り込むリスクが高まるからです。

写真は腰壁の内側にも外側にも笠木とのすき間がない事例です。実はこちらの建物は、施主のリクエストで契約後にサイディングをアップグレードしました。図面ではサイディングの厚みが15ミリとなっており、また、土台水切りとサイディング下端との間に曲尺(かねじゃく)を差し込んだところ、奥までおよそ36ミリでした。竣工図面や現行のサイディングに関する資料がなかったので推察になりますが、仮に胴縁の厚みが18ミリとすると、サイディングの厚みは18ミリとなることから、15ミリから18ミリのサイディングに変更したものと思われます。本来であれば、サイディング厚の変更に対応し、6ミリ以上幅の広い笠木に交換すべきだったのに、それを怠って(失念して)しまったのではないでしょうか。

腰壁だけに着目すれば、サイディングをアップグレードしたことによって、かえって雨水がかかる程度が大きくなり、劣化を速めてしまったといえるのです。
さらに申し上げれば、この状態のまま何の配慮もせずに塗装すると、笠木内部に入り込んだ雨水の出口をふさいでしまうことになり、腰壁内部を腐朽させるリスクが高まります。問題は、その配慮ができる塗装職工がどれくらいいるかということです。