【アスベスト入り建材は丈夫である】X(ツイッター)を更新しました

アスベスト(石綿)は、繊維状の天然鉱石です。耐熱性や耐薬品性に優れていることから、「奇跡の鉱物」として重宝され、建築材料や自動車部品など幅広く使用されてきました。反面、空中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸入すると、肺ガンや中皮腫の誘因となるのは、皆さん周知のとおりです。
住宅など低層の木造建築物の外装材においては、主にサイディングボードや屋根材に用いられていました。アスベスト規制が施行される2006年から遡ること2年前には、ほぼすべての外装建材にアスベストは使用されなくなっています。そのことに関連し、アスベストを使用しなくなった直後の2004年から2006年頃までに製造された化粧スレート瓦材は非常に割れやすいことを、業界内では誰もが実感しています(「塗装できないスレート屋根」で検索をかけると出てきます)。確たる証拠はありませんが、おそらくアスベストに代わる材料や工法が見つからないままデッドラインを越えてしまったのではないかと、屋根に携わる多くの施工者はそう思っています。
では、それ以前に製造された、アスベストを含有している屋根材はどうかといえば、これはものすごく丈夫です。おそらく、アスベストを使用している分、現下製造されているものより強度は高いかもしれません。
なお、健康上の問題については、厚生労働省のウェブサイトに以下の記述がありました。
『アスベストは、その繊維が空気中に浮遊した状態にあると危険であるといわれています
すなわち、露出して吹きつけアスベストが使用されている場合、劣化等によりその繊維が飛散するおそれがありますが、板状に固めたスレートボードや天井裏・壁の内部にある吹付けアスベストからは、通常の使用状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。』
すなわち、アスベスト含有の屋根材が葺かれていても、お住まい手の健康に被害を及ぼすことはほぼないということです。
こう申し上げるのには根拠があります。我々塗装業者は、かねてより高圧水洗浄にてアスベストが含有されている建材を削るように洗浄してきました。したがって、居住者よりも吸い込む確率は高いと思われますが、アスベストが誘因の肺ガンや中皮腫になったといった話を聞いたことがありません。
結論として、アスベスト入りのスレート瓦材が葺かれている建物は、屋根の耐久性においては有利であるともいえます。そんな高耐久建材を葺き替えたり、カバー工法したりするのは、率直にもったいないです。今や手に入らない建材を所有していることを自覚し、大事に使っていくほうが合理的であると思えるのです。
https://twitter.com/amamori_shonan/status/1904839312707096898