【木造住宅改修工事の仕様書】X(ツイッター)を更新しました

「国土技術政策総合研究所」(国総研)という機関があります。国土交通省が所管する事業において、調査、試験、研究、開発などを行うことを目的に設置された社会資本整備に関する唯一の研究機関で、国土交通省の施設等機関です。

約350名の研究者を抱える組織ですが、そのうち建築分野において、木造の耐久性を担当している研究者はたったの2名しかいないという情報を、先日知らされました。

少子高齢化が進んでゆく現代において、これまで以上に建て替えが厳しくなる社会になってゆくことは想像に難くありません。現状でも、日本の住宅ストックは世帯数を上回る量があり、「住宅は余っている」と言われています。このままの状態が続けば地方からスラム化してくるでしょう。

そういった状況を踏まえ、国交省では「住宅ストック維持・向上促進事業」という補助事業を立ち上げ、既存住宅(ストック)の質を維持・向上させ、長く使える住まいにすることを支援しています。具体的には、住宅のリフォームや性能向上のための工事などに対して、一定の要件を満たす場合に補助金が交付されます。

しかし、です。そもそも、住宅の85%が木造にもかかわらず、行政は、その住宅ストックを維持する上で最も重要な要素であるといっても過言ではない、木造建築物の耐久性に対して、ほとんどリソースを割いていないことが、冒頭の研究者数から透けて見えてしまうのです。

ですから、維持延命を目的とした、木造の改修工事に関するガイドラインがなかったりするのは当然です。約3.5兆円あると言われている外装リフォーム業界ですが、その工事の実態はきわめて観念的であると言わざるを得ません。

…申し上げたかったことをまとめます。繰り返しになりますが、皆さんが検討なさっている塗装工事や屋根工事などにはガイドラインやマニュアルがないのです。ですから、その改修工事を勧めてくる業者の根拠は極めて観念的なはずです。したがって、その工事が本当に必要なのか、いったん立ち止まって考えていただきたいのです。