【見上げ部にシーリングをしてしまう理由】X(ツイッター)を更新しました

破風と止縁(とめぶち)との取り合い(赤矢印)にシーリングが充填されています。シーリングはいつか必ず破断しますが、破風の突きつけ部(白矢印)のシーリングが先に切れたら、雨がかかると必ず雨漏りする状況に陥ってしまいます。しかも、垂直面(白矢印)と見上げ面(赤矢印)であれば、日射をより多く受ける垂直面のほうがより早く劣化することは明らかです。そもそも、雨は原則として上から下にしか移動しないので、見上げ部にシーリングを施すこと自体ナンセンスなのです。
軒ゼロの設計でも、破風と外壁材とを接触させず、すき間を開けておけば、破風に施されたシーリングが破断しても排水が保たれているため、雨漏りの誘因にはなりません。(①)

実際、見上げ部にシーリングをするくらいなら、②のように破風を張らないほうが安全です。実は、屋根・板金工は、板金の立下り部にシーリングをしないことが慣習になっているからです。したがって、②の白矢印をシーリングで埋める職人はほぼいません。

現在の分業化が進んだ建築現場においては、慣習によって作業が進んでゆきます。「これはこういうもの」という思考です。残念ながら、建材の役割をイメージしながら施工する職人は極めて少数です。板金の立下りはシーリングで止めないが、破風の下端はシーリングで止めるというのは、そういった現場での思考停止状態に招来しているのです。