【塗装では建物を維持できない-2】建物が「もつ」「もたない」ってなに?
原田芳一です。
みなさんは、塗り替え工事にどんなイメージをお持ちですか。
おそらく、自宅を塗り替えようと思われている多くの人が、「塗り替え」という言葉の外に、建物をもたせることを意味づけていらっしゃるのではないでしょうか。
ところで、そもそも、「もつ」とは「もたない」とは、いったいどういった状態を指してのことなのでしょうか?
…明確に答えられる人は少ないのでは?
よくよく考えてみると、たいへんあいまいな言い回しであることに気づかれると思います。
でも、みなさん、家をもたせたいと思っていらっしゃいますよね?
でしたら、塗り替えを考えている人は、まずは「もつ」という言葉に対し、きちんとした定義づけを行うことが必要です。
それを考えるにあたり、最も先行すべきは、誰が思う「もつ」「もたない」なのか、その対象を定めることです。
日本の建物において最も多くを占めるのが木造住宅ですので、ここでは木造住宅の所有者を対象といたします。
住宅の所有者の多くは、所有する住宅に対し、生涯で最も大きな買い物であるという意識を持っていると思います。
よって、それらの所有者が一番恐れるのは、住宅の価値が失われてゆくことです。
ただ、それだけでは漠然としすぎていますので、分かりやすくするため、住宅の価値を不動産的な資産価値と、より具体的に置き換えます。
建物の資産価値が失われる最も大きな要因は、構造体の不具合です。
ちゃんと建っていられない建物に資産価値はつきません。
では、構造体の不具合は、地震やシロアリなどの外的な要因を除けば、ほとんどが腐食(腐朽)によってもたらされます。※木材が腐ることを「腐朽」と呼んでいます。
すなわち、「もつ」「もたない」とは、腐食(腐朽)の有無に関連づけられるのです。
要するに、「腐る」「腐らない」に類義であるといえるでしょう。
なお、腐朽は腐朽菌が発生することによって起こります。
腐朽菌が生息するには水分が必要ですから、木材に常に水分が供給されていることが、腐朽が起こる前提となります。
逆にいえば、木材に水分が触れていなければ腐朽は起こりません。
すなわち、建物に水分が浸入するメカニズムを断つことが、建物をもたせることの本質なのです。