【塗装では建物を維持できない-3】建物を維持するために必要なこと

一昨日、昨日のブログのつづきです。

これまでのブログはこちら

【塗装では建物を維持できない-1】「雨仕舞」とは?〜この言葉を知らなければ建物を維持することなどできません。
【塗装では建物を維持できない-2】建物が「もつ」「もたない」ってなに?

建物の「もつ」「もたない」の対象は構造であるべきこと、構造を維持させるためには、建物内部に水分を存在させないことについては、ご理解いただけましたでしょうか?

では、建物をそういった環境とするにあたり、建物内部に意図しない水分が存在する要因を挙げれば、そのほとんどが、雨水の浸入、いわゆる「雨漏り」によるものと、結露によるものとのどちらかです。
雨漏りを防ぐための対策として、誰しもがまず思いつくのが「防水」でしょう。
しかしながら、建物内部に水分をもたらさないためには、防水だけを考えていれば良いわけではありません。
なぜなら、建物内部に生物の営みがあれば、必ず水分が発生し、内外の温度差により結露として顕在化するからです。

たとえば仮に建物表面をすべてラッピングするように防水したとすれば、内部結露により腐朽菌が発生し、腐食(腐朽)が進行してしまうでしょう。
そこで、自然界における水の移動は原則として上から下への一方通行なのに対し、水蒸気は下から上へも移動することを応用した「雨仕舞」の考え方がたいへん重要になってくるのです。

そのことを知らずして、あたかも建物の表面をバリアするようなイメージで塗り替え工事・塗装工事を行っても、決して建物の維持延命にはつながりません。なぜなら、塗装では雨水の浸入を防ぐことができないからです。