【塗装工事における適材適所】防水をしてもよい部位、ダメな部位

原田芳一です。

さて、この2枚の画像の塗装には、共通するところと異なったところがあります。何かわかりますか?

…といっても、わからなくて当たり前です。私の視点ですから。

まず、共通点です。

両方とも、外壁に、砂骨材ローラーによる下塗りが施されています。

こんなローラーを使って塗装してゆきます。さざなみ模様になるのが特徴です。通常のローラーを使用した際に比べ、塗膜はおよそ2倍ほど厚くなります。この下塗りを2度、3度重ねてゆくことによって、膜が厚くなり、ひび割れなどが起こりづらくなります。もちろん、防水性が高まるため、透水性は低くなります。

次に、異なる点です。

上げ裏(天井にあたる部分)をご覧ください。上の写真では、外壁(垂直面)につけられているようなさざなみ模様がついていません。下の写真にはついていますね。上の写真の建物は、天井部分にはわざとつけなかったのです。なぜでしょうか?

それは、水の流れに関係しています。

水が動く力は、その大部分が重力によるものです。したがって、水は上から下への一方通行です。したがって、上げ裏は水の入口にはなりえません。出口にはなるかもしれません。もし、出口を防水してしまったら、水はその上にたまり、木材を腐らせることになってしまいますね。

また、水の出口にあたる部位は、通気に用いることが可能です。水はそこから入ってこないのですから、わざわざ防水化を図る必要はありません。逆に、何も塗らない方が、湿気を逃がしやすくなるので、結露やカビの抑止につながります。

上の写真の建物は、弊社で施工した物件です。上げ裏は、建物のことを考えると、何も塗りたくないのですが、それでは見た目が悪いので、透水性に富むつや消し塗料を用いています。

下の写真の建物は、上と同じようにひび割れを防止するためにさざなみ仕上げにしているのですが、裏側まで同じように塗ってしまっています。このような塗装をすると、今後雨水が塗膜内部に浸入した際に、逃げ場を失い、建物内部に滞ってしまうため、より被害が拡大してしまうでしょう。

では、なぜ下の写真では上のようにしなかったのかといえば、おそらくそのような知識がなかったということに尽きるでしょう。また、もし知っていたとしても、いちいち塗料や塗り方を変えていては手間がかかってしまい、結果としてお客様に提示する金額も高くなってしまうため、あえてそんなことはしないと思います。

実は、こういった細かなところから、建物の寿命が変わってしまうのです。