「塗り替え工事」では建物を維持できません
原田芳一です。
みなさんは、塗り替え工事に対して、どのようなイメージをお持ちになられているでしょうか。
塗膜がだんだんと劣化していって、雨水が壁や屋根に染みこむようになるので、それを防ぐために、定期的に塗装して水をはじくようにしなければならない。
…このように思っていらっしゃるのではないでしょうか。
あたかも、塗装することによって、外壁や屋根の外側にバリア層ができて、建物を守ってくれるような。
あえて、断言します。これは妄想です!
特に、木造住宅の場合は、外壁材や屋根材の内側に、必ず防水シートが施されています。外壁材や屋根材の役割は、その防水シートを保護することです。ですから、ひび割れしても、構造体や室内に雨水が浸入しないつくりになっているのです。
さらに言えば、塗装しても、ひび割れを防ぐことにはなりません。特殊な方法によるものを除き、塗膜はたいへん薄いのです。ひび割れを起こすような力に対抗することなどできません。
それよりも、塗装したことによって、木材を腐らせたり、建物の劣化を促進させたり、雨漏りしてしまう事故が後を絶ちません。
これは事実です
上の写真はすべて、塗装したことによって、または、塗装時に適切な処置がなされなかったことによって、下地の木材を腐らせたり、建材をふやかせたり、塗膜をさらにはがれさせたりした事例です。単なる「塗り替え」は、建物の維持延命の役に立たないばかりではなく、建物の寿命を縮めさせてしまっているのです。