原因の多くが雨漏りや水漏れ!シロアリ被害の状況と対策について
シロアリと聞くだけで『ヤダ~~~!』という声が聞こえてきそうですが
自然界においては枯れ木などを分解する益虫として、重要な役割を担っているそうです。
近年ではその分解する力が注目され、研究が進められているとか…。
とはいえ、家の周りで発見されたら、やはり不安な気持ちになってしまいますよね。
シロアリは寄せ付けないことが一番!
まずは敵を知り、必要な対策を実践してみましょう!
シロアリの生態
シロアリと言われますが、アリは分類学上はハチ目に分類されるのに対し、シロアリはゴキブリ目!なんとゴキブリの仲間なんです。
『ヤダ~!』の声が倍増しそうですね。^^;
シロアリは世界で2900種以上生息していると言われ、日本でも20種以上が生息しています。
その中で関東を中心に家屋に被害を与えるシロアリは、ヤマトシロアリ・イエシロアリ・アメリカカンザイシロアリの3種と言われています。
この3種の内、一番多く被害が報告されているのはヤマトシロアリで、日本のほぼ全域に生息しているため、シロアリ被害の8~9割を占めるとも言われています。
私も何度となく現場でシロアリに遭遇していますが、目にしたのはやはりこのヤマトシロアリです。
シロアリは主に土の中や木の中に巣(コロニー)を作り、それぞれが役割を持ち集団で生活します。
この3種について、わかる範囲で特徴と見分けるためのポイントを以下にまとめてみました。
ヤマトシロアリ
- 生息地域 :北海道北部を除くほぼ全域
- 成虫の容姿 :体 長:3.5~6㎜
体の色:乳白色 - コロニーの規模:中規模(数万匹~数十万匹)
- 羽アリの容姿 :体長:4.5~7㎜
羽の色:黒
体の色:黒褐色 - 群飛時期 :4月下旬~5月(昼間)
- 生息場所 :風呂場や台所などの水回り、漏水などで常に湿気があるところ
- 移 動 :乾燥を避けるため蟻道を作り移動
- 特 徴 :湿気を好み、水分を含んだ木材を食し、土中や食した木材などにコロニーを形成する
イエシロアリ
- 生息地域 :千葉県以南の沿岸部など
- 成虫の容姿 :体長:4.5~9.5㎜
体の色:乳白色 - コロニーの規模:大規模(数十万匹~数百万匹)
- 羽アリの特徴 :羽の色:乳白色
体の色:黄褐色
体 長:4.5~9.5㎜ - 群飛時期 :6月~7月(夕方~夜)
- 生息場所 :土中、風呂場や台所などの水回り、漏水などで常に湿気があるところ
- 移 動 :乾燥を避けるため蟻道を作り移動
- 特 徴 :湿気を好み土中にコロニーを形成、食欲旺盛、規模が大きいため進行が早く被害が大きくなる
アメリカカンザイシロアリ
- 生息地域 :宮城~沖縄まで点在
- 体長 :7~10㎜
- コロニーの規模:小規模(数匹~数百)
- 羽アリの特徴 :羽の色:黒
体の色:黒(頭部は赤褐色)
体長:7㎜ - 群飛時期 :3月~11月(比較的暖かい日の昼間)
- 生息場所 :家中の木材なら家具も含めどこでも生息可能
- 移 動 :蟻道は作らず移動
- 特 徴 :乾いた木材も食す、規模が小さく生息場所が多岐にわたるため発見が難しい
6本の筋の入った0.7~1㎜程度の俵状の糞が特徴、木材に3~4㎜程の丸い穴を開けて
侵食し、糞もその穴から外に蹴り出すため、穴の下は糞が盛り塩状になる
発見のポイント!
普段は土や木の中で生活しているため、私たちが目にすることはほとんどありませんが、ある時期に新しいコロニーを作るために巣から一斉に飛び立ちます。それを群飛(ぐんぴ)と呼び、その際に私たちもその姿を目にすることがあります。
土の中や木の中では白色のシロアリですが、群飛の時には、黒や褐色となり翅(羽)を付けて飛び立ちます。その姿からシロアリを想像するのは難しいかもしれませんので、覚えておくといいですね!
ヤマトシロアリ・イエシロアリ
群飛(ぐんぴ)
私たちがよく目にする羽アリより、翅が長く、写真では分かりにくいですが頭が丸いのが特徴です。
群飛の時期は梅雨の前後が多く、羽アリが大量発生します。
一度飛ぶと二度と飛ぶことは無く、羽を落とすため無数の羽が散乱します。
このような羽アリの群れや長細い羽が無数に落ちていた場合にはシロアリが生息している可能性があります!
蟻道
文字通りアリの通り道です。
乾燥や外敵から身を守るために土や木くずに自身の排泄物や分泌物を混ぜ合わせ作ります。
ヤマトシロアリやイエシロアリの場合には蟻道を作り移動するため、発見の目安になります。
家の基礎などにこのような蟻道を発見したらシロアリが生息している可能性があります!
浴室など水漏れによる腐食
今ではユニットバスが主流ですが、ユニットバスが一般住宅に導入されたのは約50年前の1970年頃、そこから徐々に浸透していったので、築30年以上、1990年より前の物件では在来工法と呼ばれる造りの浴室も多いかと思います。
在来工法の場合、湿気がこもりやすかったり、経年劣化で水漏れが発生するようになり、湿気を好むシロアリの絶好の住処となることがあります。
浴室、キッチン、トイレなど常に湿気がある場所、水漏れなどが発生している場所にはシロアリが生息している可能性があります!
放置された木材
家の周りに、いつか使うかもしれないと思って置きっぱなしになっていた木材、処理しようと思っていた倒木や枯れ木、少し腐っているウッドデッキなどはありませんか?
腐食が始まり水分を含む状態になった木材などはシロアリが好む環境になるため、シロアリが生息している可能性があります!
雨漏り
雨漏りを放置していると、下地の木が腐食し、常に湿気を帯びた状態になります。
修理のために外壁を剥がしたら、シロアリが大量に出てきたという話は珍しくありません。
雨漏りしているお宅はシロアリが生息している可能性があります!
クロアリ
実はクロアリはシロアリが大好き!
雑食のクロアリは攻撃的でシロアリの巣を襲い、食し、住処を奪います。
クロアリが大量発生している!どうやら家の中にクロアリの巣がありそうだ!そんな場合にはシロアリが生息している可能性があります!
アメリカカンザイシロアリ
輸入家具などに紛れ流入してきた外来種で、群飛の時期が3月~11月と広範囲であること、乾燥に強いため屋根裏や家具などありとあらゆるところにコロニーをつくること、小規模であること、侵食のスピードが緩やかなことなどから発見が遅れるケースが多いようです。
発見のポイントは糞!
粒状の糞が盛り塩状になっていたら、小さな虫孔がないか周りを確認してみてください。
確認できない場合も糞はそのまま!
駆除をお願いした時に発見の手掛かりになります。
糞はよく見ると6本の筋が入っており、私も実物を見ましたが、何かの種のようにも見えます。
飛行距離は短く、被害地域は局地的ですが年々その生息範囲を広げているとの報告もあります。
また、同じ家の中でいくつもコロニーが見つかったり、一度駆除しても再発するケースも多いようです。
盛り塩状の糞粒や虫孔を見つけたら、シロアリが生息している可能性があります!
シロアリとクロアリの違い
羽アリとなって飛び立つとき、シロアリは黒くなっている!というお話をさせていただきました。
そこで、羽アリを見た時に区別がつくよう、シロアリとクロアリの違いについて説明します!
シロアリ
- 胴にくびれがなく寸胴
- 触角が真っすぐで、よく見ると球体が数珠繋ぎ状
シロアリの羽アリ
- 胴にくびれがない
- 触角が真っすぐで数珠繋ぎ状
- 色は種類によって異なるが、黒または茶褐色・黄褐色
- 翅は細長く4枚で全てがほぼ同じ長さ
クロアリ
- 胴にくびれがある
- 触角が曲がっている
- 翅は4枚で後翅の方が短い
シロアリの被害状況
平塚市S様邸
シーリングの打ち替え工事の際、既存シーリングを撤去すると
中からシロアリが…
外壁を剥がすとシーリングの破断箇所から水が浸入し、常に湿った状態の木下地に営巣したことがわかりました。
シロアリのほか、木材の腐食も含め、被害はシーリング下部の1階廻りの外壁全面に及びました。
藤沢市A様邸
在来工法の浴室の状況です。
タイルや目地にひび割れが確認できます。
脱衣所の床は乗るとギシギシと音が鳴り、沈み込みがありました。
解体すると大量のシロアリが発見されました。
柱の根本は手で簡単に崩せるほどに食い荒らされていました。
被害は浴室全体、天井にも届きそうな勢いです。
ユニットバスに交換する工事を行いました。
新宿区M様邸
雨漏り補修のために外壁を剥がすと
ごっちょりとシロアリが出てきました。
外壁の1面全ての張り替えを行いました。
シロアリを寄せ付けないために
シロアリを寄せ付けないために気をつけるポイントは以下の3つ!
①湿気を溜めない
②雨漏り水漏れを放置しない
③家の周りの木材・倒木は片付ける
①湿気を溜めない
家の基礎には写真のような床下換気口がいくつか設けられています。
この換気口は床下を効率よく換気できるよう設置されたもので、この換気口を通し風が抜けることで湿気がこもることを防いでいます。
ただ近年では基礎と土台の間にパッキンを挟んで通気を取る、基礎パッキン工法が主流となっているようで、写真のような通気口が少なくなっている傾向にあるようです。
形はともあれ、基礎の周りには床下の換気を促す機能が備えられているので、基礎廻りに植栽をびっしり植えたり、換気口を塞ぐように荷物を置いてしまっては、その機能が台無しです。
換気口廻りの植栽に毎日せっせと水をあげて、シロアリを呼び込んでしまった事例もありますので、基礎の周りはなるべくスッキリと風通しよくしておきましょう!
②雨漏り水漏れを放置しない
家の中にポタポタと水が垂れてくれば、放置する人も少ないかとは思いますが、外側はあまり気にならない、そもそもわからないという方も多いのではないでしょうか。
でもその油断がシロアリを呼び寄せるきっかけになる可能性があります。
雨漏りや水漏れは放置せず、信頼できる業者さんに相談しましょう!
雨漏りか水漏れかわからないけれど、局部的な変色や腐食がある、カビが発生している、塗膜が剥がれている、常に同じところが濡れているといった不具合も雨漏りや水漏れの可能性があります。
その場合にも信頼できる業者さんに相談しましょう!
③家の周りの木材・倒木は片付ける
日曜大工で余った木材などを家の周りに置いている方は結構いらっしゃいますが、まぁまぁの確率で白アリがいるケースがあります。
また、庭の倒木や枯れ木、腐ったウッドデッキなどもシロアリの住処になります。
建物に不具合が無く乾燥している場合には、庭にシロアリがいても影響ない場合も多いのですが、床下に湿気がこもる環境であったり、雨漏りしている場合などは庭の倒木などから建物へとシロアリが移動してくるケースがあります。
家の周りの木材や倒木などは片付けて、シロアリが好む環境を減らしリスクを軽減しましょう!
シロアリ防除はもちろん効果的ですが、湿気や雨漏り・水漏れはシロアリがいなくても建物に大きなダメージを与えるものです。建物に与える影響を理解したうえで気をつけることで、いろいろなリスクを減らしてゆけると考えます。
個人的にはリスクを減らしたうえでのシロアリ防除をお勧めします!
いかがでしたか?
なにか不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください!
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