外壁塗装の塗膜の剥がれ、その原因と補修方法
外壁塗装を考える時、外壁に現れた不具合、例えばひび割れや塗膜の剥がれといった現象が気になってご検討されることがあるようです。
ただその不具合、外壁塗装をするだけで本当に大丈夫でしょうか?
今回はその不具合の一つ、塗膜の剥がれについてお話ししたいと思います。
塗膜が剥がれる原因
塗膜が剥がれる原因はいろいろあります。
・ケレン不足
・洗浄不足
・素地との相性
・水や湿気の影響 など
ケレン不足、洗浄不足、素地との相性に関しては、既存の脆弱塗膜を可能な限り除去し塗り替えてくことになろうかと思いますが、私が現場を見てきた中では、水や湿気の影響により塗膜が剥がれるケースというのが多くあり、これを既存の脆弱塗膜を除去しただけ塗り替えてしまったのでは、また同じ現象が起きてしまいます。
出来れば根本的な解決を望むところですね。
水や湿気の影響で塗膜が剥がれるという現象
例えばサッシ、主にサッシの左右の下部などの塗膜が剥がれて素地が出ているような現象をよく見かけます。
幕板やモールなどの帯の部分も塗膜の浮きや剥がれが起こりやすい箇所で、よく見かける現象です。
近くで見るとこんな感じです。
モールを撤去したところ、上部の塗膜も浮いていたので剥がしました。
内側が濡れているのが分かります。
分かりにくいですがサッシ左下部の赤丸部分です。
近くで見るとこんな感じです。
浮いた塗膜を剥がしてみました。
内側は塗れています。
バルコニーの裏側です。
写真が分かりにくいですが右側の角は下まで同じように塗膜が剥がれ、壁は濡れた状態でした。
症状が比較的軽いものから重いものまで見ていただきましたが、全て水が原因の塗膜剥がれの現象です。
水は蒸発するときに、なんと体積が1700倍にも膨れ上がります!
そのパワーで塗膜を浮かせてしまうんですね。
また、凍結や融解を繰り返すことで素地も痛んできてしまいます。
どのように補修したのか、下の二つの事例から見てみましょう!
調査の結果、塗膜の剥がれは青丸部分の屋根先と外壁との取り合いが原因だと分かりました。
青い矢印は水の流れになります。
屋根先と外壁の取り合い部分です。
この部分に必要な部材が入っておらず、シーリングで留めてしまったことで、青い矢印のように屋根の上を流れたきた水がシーリングによりせき止められ板金を乗り越えて、またはシーリングの裏側をまわり込んで外壁の内側に浸入したものと考えます。
シーリングを全て除去し外壁を拡幅、板金も不要な部分は撤去し、壁止まり役物と呼ばれる部材を挿入しました。
水の流れがスムーズになったことが分かるかと思います。
シーリングは水の流れをせき止めないように処理しました。
屋根の上を流れた水は軒樋の中にスムーズに入るようになりました。
水の流れを変える処置を行ったことで、外壁の不具合が改善されました。
次の事例です。
赤丸部分が水の浸入口です。
本来であればバルコニーを撤去したいところですが、大変大掛かりな工事となってしまうため、お客様とご相談をして、床板を外し、可能な限りシーリング等で処理することになりました。
緑のラインは床板があった個所です。
外すとバルコニーの枠には水が溜まっていました。(何日も雨は降っていない状況でした)
既存のシーリングも除去し、たまった水も除去、後はとにかく掃除をして、良く乾かしました。
バルコニーの枠には水が溜まらないよう、水抜き穴を開けました。
可能な限りシーリングで外壁に水がいかないように処置をしました。
ただ、写真は無いのですが、もう一つ大切な工事を行いました。
雨が降っていないのに常に濡れていたので、おかしいな?と思いお客様に聞き取りを行ったところ、エアコンを交換してから外壁の塗膜が剥がれだしたことが分かりました。
見てみるとエアコンの排水がバルコニーに垂れ流しになっていたことが判明。
その前のエアコンの排水ドレンは雨樋に流していたそうで、納得!
エアコンの排水ドレンを付け替えて、雨樋に流せるように処置を行いました。
20年近く塗膜の剥がれがなかったお宅です。完全ではありませんがこれだけやれば恐らく大丈夫でしょう!
エアコンを交換しただけで、あわや柱をも腐らせる状況になろうとは夢にも思っていなかったと思います。
今回、浸入口を塞ぐことに加え、水を溜めない工夫を行ったうえで、外壁を剥がし柱の補強等も行いました。現在も塗膜の剥がれは起きていません。
塗膜の剥がれ、ちょこちょこっと塗ってしまうことは簡単ですが、今回のケースのように水が浸入している場合には注意が必要です。
外壁塗膜の剥がれが気になった場合には、ぜひ、信頼のできる業者さんに診てもらってくださいね。
塗り替えるだけでは状況は良くなるどころか悪くなる可能性も!
不具合の原因を見極めた上での外壁塗装・屋根塗装をお勧めします!