【現場での思考スキーム】X(ツイッター)を更新しました

上のリンク先の記事をご覧いただいた方から、次のような質問がありました。


『逆に緑の方が施工難しそうに見えますけどね。 なんでこんなことしちゃうのかな。』


以下、私の見解です。

写真をご覧いただくと、垂直方向に下地が張られているのが分かると思います。この下地は「胴縁」と呼ばれています。本質的な意味合いとしては、通気を取る目的で、構造面材とサイディングが触れることのないよう、すき間を設けるためのものです。

翻って、窯業系サイディング材が発売されたのは、今から55年余り前のことです。それまで、木造建築物の乾式外壁材は羽目板(下見板)くらいしかありませんでした(他はしっくいやモルタルといった湿式工法)。大工だけで外装を仕上げようと思えば、左官職人が必要な湿式は選択から外れます。ただし、木材の外装は、「燃えやすい」ことと「腐りやすい」ことという、2つの大きな問題を抱えていました。そこで、耐火性能が高く腐朽しない製品として開発されたのが「窯業系サイディング」です。

したがって、当時サイディング工事を受け持っていたのは、現在のようなサイディング張りに特化した職人ではなく、大工でした。

大工の習い性として、「釘は下地のあるところに打つ」という感覚があります。当然と言えば当然です。かつては、胴縁のない「直張り」だったので、柱や間柱の上に水切りを取り付けていました。それが、胴縁を使用するようになってからも、その感覚が抜けずに、ある期間(今から20年くらい前まで)において、「下地」である胴縁を張った後に水切りを取り付ける、誤った納まりが流布したものと思われます(あくまで想像ですが)。

現場では残念ながら、「何のために」が理解されないまま進んでゆくことが多いのです。

※写真の納まりは、土台水切り>透湿防水シート>縦胴縁 の順であり、適切です。