【完工事例】[21.8.18]横浜市M様邸・雨漏り再現調査(担当:能登広)

物件データ

施工中リポート

散水調査

建物外観

雨漏り診断士の資格所持者が、
疑わしい箇所に水をかけて漏水箇所を特定する「散水調査」を行います。

 

調査①

南面1階台所上部、2階バルコニー床先端アルミアングル部分より、約4m幅で散水しました。

2021/8/18 9:15~10:00
漏水再現(約45分) しました。

 

調査①

南面1階和室窓木枠、西側上角より浸出しました。(滴下現象あり)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査①

南面1階和室窓木枠、西側下角より浸出しました。(滴下現象あり)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査①

調査①散水開始から約15分後に、南面1階和室窓下水切り板金西側角、及び南面1階台所窓戸袋下水切り板金より浸出しました。

 

調査②

南面1階台所上部、2階バルコニー手摺柱根元へ散水しました。

2021/8/18 10:25~10:35
中止
※ 調査①との区別が付けられないため中止しました。

 

調査③

南面1階台所上部、2階バルコニー床先端アルミアングル下の水切り板金上より散水しました。

2021/8/18 10:45~11:10
漏水再現(約25分) しました。

経過を観察するため 12:15まで散水を継続しましたが、他部位への浸出はありませんでした。

 

調査③

南面1階和室窓木枠、西側下角へ進出しました。(滴下現象あり)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査③

南面1階和室窓木枠、西側上角より浸出しました (滴下現象あり)。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査③

調査③散水開始から約28分後に、南面1階台所窓上部、外壁との取り合い部より浸出しましたが、室内側へ浸出はしませんでした。
(※室内側には出ませんでした。)

 

調査④

南面1階台所上部、2階洋室窓、戸袋内部へシャワーヘッドで散水しました。
(※この時、バルコニー先端部へ水が掛からないように、養生を行っています。)

2021/8/19 9:15~9:25
漏水再現(約10分) しました。

 

調査④

南面1階台所上部、2階バルコニー床の先端部分に水が掛からないように養生を行っています。

 

調査④

南面1階台所天井中央から少し東側より浸出しました。
(火災報知器より滴下現象あり。)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑤

南面1階和室上部、2階バルコニー床先端アルミアングル部分より、約4m幅で散水しました。

2021/8/19 10:10~10:40
漏水再現(約30分) しました。

経過を観察するため 11:40まで散水を継続しましたが、他部位への浸出はありませんでした。

 

調査⑤

南面1階和室窓木枠、西側上角より浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れいている箇所です。

 

調査⑥

南2階バルコニー中央腰壁、笠木先端部分へシャワーヘッドで散水しました。

2021/8/19 13:00~13:12
漏水再現(約12分) しました。

 

調査⑥

南面1階和室窓木枠、西側上角より浸出しました。(滴下現象あり)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑥

南面2階バルコニー中央腰壁の笠木内部を確認しました。

 

調査⑦

南面1階台所上部、2階洋室窓廻り外壁、軒裏との取り合いより約4m幅で散水しました。
(※この時、窓に水が掛からないように、養生を行っています。)

2021/8/19 14:10~15:43
漏水再現(約93分) しました。

 

調査⑥

南面1階台所、和室との間仕切り壁と天井との取り合い部台所側へ浸出しました。
(※ただし、この進出(サーモブラフィーへの反応)は調査④によるものである可能性もあるため、再調査を行うことにしました。)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑦

赤外線で反応が出た箇所を水分計で計測したところ、46.0%と高い数値を示し、濡れていることがわかります。

 

調査⑧

南面1階台所上部、2階洋室窓廻り外壁、軒裏との取り合いより約4m幅で散水しました。
(※この時、バルコニー先端及び窓に水が掛からないように、養生を行っています。)

2021/9/8 9:25~10:19
漏水再現(約54分) しました。

 

調査⑧

南面1階台所上部、2階バルコニー床先端に水が掛からないように養生を行いました。
※調査⑨においても、この養生を維持しています。

 

調査⑧

南面1階台所、和室との間仕切り壁と天井との取り合い部台所側へ浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑧

赤外線で反応が出た箇所を水分計で計測したところ、39.2%と高い数値を示し、濡れていることがわかります。

 

調査⑧

南面1階台所、和室との間仕切り壁と天井との取り合い部和室側へ浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑨

南面1階台所上部、2階バルコニー西側腰壁笠木と戸袋との取り合い部へ、シャワーヘッドで散水しました。

2021/9/8 13:10~14:40
漏水再現しませんでした。

 

調査⑩

南面1階台所上部、2階バルコニー立ち上がり東側アルミアングルへシャワーヘッドにて散水しました。
(※この時、2階バルコニー先端部分に水が掛からないように養生を行っています。)

2021/9/13 9:05~10:35
漏水再現しませんでした。

 

調査⑩

南面1階台所上部、2階バルコニー床先端に水が掛からないように養生を行いました。
※調査⑪、⑫、⑬においても、この養生を維持しています。

 

調査⑪

南面1階台所上部、2階バルコニー東側外壁、中央腰壁笠木上部より、約1m幅で散水しました。

2021/9/13 10:45~12:15
漏水再現しませんでした。
(※ただし、南面1階和室窓下水切りより、水が垂れていました。)

 

調査⑫

南面1階台所上部、2階バルコニー床、洋室窓下へ約4m幅で散水しました。

2021/9/13 13:10~14:40
漏水再現しませんでした。
(※ただし、南面1階和室窓下水切りより、水が垂れていました。)

 

調査⑬

南面1階台所上部、2階バルコニー床、アルミ手摺根元へ、シャワーヘッドで散水しました。

2021/9/13 15:00~16:30
漏水再現しませんでした。

 

調査⑭

南面1階台所上部、2階バルコニーアルミ手摺腰壁接合部両端へ、シャワーヘッドにて散水しました。
(※この時、2階バルコニー先端部分に水が掛からないように養生を行っています。)

2021/9/20 9:15~10:45
漏水再現しませんでした。
(※ただし、南面1階台所戸袋下水切りより水が垂れてました)

 

調査⑭

南面1階台所上部、2階バルコニーアルミ手摺腰壁接合部両端へ、シャワーヘッドにて散水しました。
(※この時、2階バルコニー先端部分に水が掛からないように養生を行っています。)

2021/9/20 9:15~10:45
漏水再現しませんでした。
(※ただし、南面1階台所戸袋下水切りより水が垂れてました。)

 

調査⑭

南面1階台所上部、2階バルコニー床先端に水が掛からないように養生を行いました。
※調査⑮、⑯、⑰においても、この養生を維持しています。

 

調査⑭

南面1階台所戸袋下水切りより、水が垂れていました。

 

調査⑮

南面1階台所上部、2階洋室窓東側下角組み付け部分へ、シャワーヘッドにて散水しました。

2021/9/20 10:45~12:15
漏水再現しませんでした。

 

調査⑯

南面1階台所、和室との間仕切り壁と天井との取り合い部台所側へ浸出しました。
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑰

南面1階台所上部、2階洋室窓東側上角外壁との取り合いへ、シャワーヘッドで散水しました。

2021/9/20 14:45~16:00
漏水再現(約75分) しました。
(※また、南面1階和室窓下水切りより、水が垂れていました。)

 

調査⑰

南面1階台所、和室との間仕切り壁と天井との取り合い部台所側へ浸出しました。
(調査⑯の状況とより青色の部分が広がったことを確認。)
浸出位置を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れてる箇所です。

  

調査⑰

南面1階和室窓下水切りより、水が垂れていました。

以上、散水調査の結果、漏水箇所を特定しました。

 

総合所見

雨水浸入位置および浸出位置について

  • 南面2階バルコニー床の先端アルミアングル及び水切り部分から浸入し、南面1階和室窓枠の西側上角より浸出しています。
  • 南面2階バルコニー洋室窓の戸袋内部から浸入し、南面1階台所天井の中央付近より浸出しています。
  • 南面2階バルコニー中央腰壁笠木先端より浸入し、南面1階和室窓枠の西側上角より浸出しています。
  • 南面2階バルコニー洋室窓東側アルミ方立(タテ枠)の外壁との取り合い部から浸入し、南面1階台所及び和室の間仕切り壁天井付近より浸出しています。

 

雨漏りの原因について

この雨漏りは、原因となる雨水浸入位置が複数箇所であり、雨水浸出位置が複数箇所である「創発雨漏り」です。
木造建築物において、最終的な止水は外壁内部の防水シート(アスファルトフェルト等)です。
外装材(塗膜やモルタル・外装パネルなど)を1次防水と呼ぶのに対し、この防水は2次防水と呼ばれています。
創発雨漏りが起こる背景として、この2次防水面で最終的な止水を担っていることから、2次防水の設計や施工に根本的な不具合が発生していることが想起されます。
雨水はいたるところより2次防水面の表面に到達しますが、2次防水が機能していなければ、建物内部の雨水の伝わり方により、さまざまな箇所に浸出してしまうのです。

 

改修設計について

2次防水に根本的な不具合が発生している場合には、1次防水面、すなわち外気に触れている面で止水をするのは物理的に不可能です。
1次防水は雨水を完全に浸入させないように設計されていないからです。
そこで、不具合が発生していると思われる部位の外壁などをはがし、2次防水を最適化しなければ、本件の雨漏り具象を解決することは困難であると考えます。
また、南面2階バルコニー床においては、先端のアルミアングル及び水切り板金の納まりを変更して雨水を速やかに排出させることが必須です。
それを行うにあたっては、既存のバルコニー防水が切断され、使用できなくなるため、バルコニー全体を再防水する必要があります。