塗装工事は『人間ドック』のようなものである

原田芳一です。

前回の続きです。

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工事によって不具合が明らかになる、ということ

弊社では、塗装工事全体のおよそ30%程度の割合で、予見できなかった不具合箇所に対する追加工事が発生しています。

私は見積前の調査平均して2.5時間も費やしているのですが、それでもすべての不具合は見つけられません。

逆に言えば、調査で見つからなかった不具合が、塗装工事を行うことで明らかになる、ということなのです。

このことこそが、塗装工事の「本質」です。

具体的には、『塗る』という行為に理由があるのです。

建物にくまなく触れる、という行為

現場作業における塗装工事の直接の目的は、塗料を塗って色を付けてゆくことですので、結果として、施工者は、余すところなく対象部位に触れてゆくことになります。

外壁などの塗装では、高圧洗浄の上、下塗り1回、上塗り2回の計3回塗りが、最も多く行われている工程です。

それにしたがって施工すれば、すき間なく、4回も、繰り返し、対象に触れることとなります。

これにより、周辺とは異なった部位、すなわち異常箇所が洗い出されます。


たとえば、補修の段階で小さなひび割れや欠けている箇所を見落としていたとします。

それらは塗膜では埋まりきらないため、塗装すれば目で見て明らかな状態になります。

こうして、ほぼ確実に見つけ出すことができるのです。

ローラーやハケで塗ってゆく意義

加えて、ローラーやハケを用いて塗装してゆきますが、これによる効果は絶大です。

塗っているときに、一部分だけかやわらかい感触を覚えたのなら、下地が腐食している、切断している、折れているなどといった状態である可能性があります。

塗装対象の一部に周囲と異なるニオイを感じるかもしれませんし、塗装作業中に周囲と違った音を感じるかもしれません。

このように、ローラーやハケを用いて塗装することにより、人間の五感をフルに活用して不具合をあぶり出すことができるのです。

私は、吹付でなく、ローラーやハケを用いた工法の最大のメリットは、このことにあると思っています。

塗装工事は『人間ドック』であるべき

私が考える、塗装工事の必要性を、あえて例えるなら、それは『人間ドック』のようなものです。


職人が、ローラーやハケを用いて、工程にしたがい塗装することにより、五感をフル活用して、何度も何度も繰り返して、対象を検査することに、おのずとなっているのです。

建物を永らく使用する以上、定期的な検査が必要である。

このことに対し、疑問を持つ方はいないはずです。

ただし、現在多くの調査会社や建築士が行っているような

「建物調査」

ではあまり意味がありません。

目的が調査であるなら、費やす日数はせいぜい半日や1日です。

しかも、塗装という行為は含まれていません。

結果として、外壁や屋根など(総じて「外皮」といいます)の全体面積からすれば、触る箇所より触らない箇所のほうが圧倒的です。

それでは、『人間ドック』と呼べるような、緻密な調査にはなりえません。

『塗装』という手段を通じてでしか、建物にくまなく触れるということを実現しえないのです。

したがって、外皮に対し、完全なる調査を行うためには、塗装という手段が必須なのです。

言うなれば、それは『人間ドック』です。

でも、ただ塗装しても「人間ドック」のような調査にはなりません。

なぜ、一般的な塗装工事ではダメなのか?

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