「人間ドック」が成立する塗装工事としない工事について

原田芳一です。

前回の続きです。

前回の記事はこちらになります。

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塗装する目的

一般的に使われる「塗り替え工事」、その究極の目的は、人が『人間ドック』にかかるように、建物をすみずみまで調べることだと申し上げました。

塗ればいいんだったら、だれが塗り替えたって建物を調べることになるのではないか?

そう思われる方もいらっしゃるでしょう。

でも、実際、そういうものではありません。

人材によって、成果は天地ほどに異なってきます。

なぜなら、塗装する前提としての

「目的」

が異なるからです。

皆さんは、私の記事を読む前は、塗り替え工事について、こんな風に思っていませんでしたか?

『塗膜が荒れてくるとそこから雨水を吸い込んでしまい、ふくれたり腐ったりするから、定期的に塗り替えなければならない。』

↑それって現実に起こると思います?

外壁ってモルタルやパネルでできていますよね。

屋根には瓦や金属が葺かれていますよね。

主に雨を防ぐために作られた外壁材や瓦材が、塗膜が荒れたからといって、本当に雨水を吸い込んでしまうでしょうか?

スポンジや紙でできているわけではないのですよ!

普段の生活レベルに落とし込んだら、わかるはずです。

ピンときていない方がいるとしたら、

「専門的な知識がない自分にはそもそも理解できない」

と決めつけないで、何度もイメージしてみてください。

再度申し上げます。

塗装することによって建物の維持延命を図る直接的な意義はありません。

だから、すみずみまで調べる『人間ドック』的な発想がないと、塗り替えなど、意味のない工事になってしまうのです。

大半の職人とは「前提が異なる」ということ

さて、これまで皆さんが思われてきた、

理屈はわからないけど、塗ってキレイになったら建物の耐久性が回復される

というイメージですが、実はこれ、皆さんのような塗り替えを検討されている方々だけが持っているわけではないんです。

我々の側、すなわち、外装リフォームに携わる人間、たとえば塗装職人・屋根職人・板金職人などの大多数、そして、設計に携わる人間の大半も、このような感覚を持っているのです。

はたして、そういった感覚の人間が施工をした場合、建物の不具合を見つけられると思いますか?

ここまで書けば、皆さん察しがつくと思いますが、例えば塗装職人を例に挙げると、塗ることで機能回復が図れると思っている職人は、

「塗る」という行為

が目的になってしまうため、 明らかにおかしなところ以外の、細かな不具合は、見逃してしまうでしょう。

片や、塗装の意義を、くまなく検査することだと、日々私から聞かされている職人は、「塗装」という手段によって、

「調査する」

という目的を持っているため、不具合箇所を見つけ出す感度は、圧倒的に高くなるのです。

現在、弊社の施工で追加工事の比率が30%ほどになったのは、このような

目的の転換

を徹底させたからです。

限られた職人にしかできない

さて、こういった考えに立脚している現場スタッフは、当然ですが、多くはおりません。

人員を増やしたからといって、私の独特な考えを植え付けさせるのには、それ相応の時間がかかるからです。

ですから、必然的に、契約から着工まで、お時間をいただくことになってしまいます。

そのことを踏まえ、塗装リフォーム工事をお考えの皆さんは、どうぞ、時間にゆとりを持った計画を立ててください。

時間に余裕を持たせることが、工事がうまくゆく重要なポイントとなるのです。