「お医者さんに診てもらう」という意識
原田芳一です。
前回の続きです。
前回の記事はこちら。
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患者と医師の役割の違い
前回の記事のまとめです。
業者が行うアフター点検など、お手盛りの調査になってしまうので、役に立ちません。
では、どうやったらお住まいの状況を的確に把握できるかといえば、住まい手の方が経時変化をとらえることだと申し上げました。
この話をすると、多くの皆さんがこうやって反論します。
「そんなこと言ったって、プロじゃないからわからないよ。」
そう思った皆さんは、今まで私がお伝えしたことに対し、大いに勘違いをなさっています。
不具合があるとか、悪くなっているとかを判断するのは、皆さんではありません!
あなたが身体に不調をきたしていて、お医者さんに行ったとします。
あなたは、その症状を医師に訴えます。
ただし、その症状が病気であるか否かを判断するのは、あなたではなく医師です。
病名を定め、それに対し治療を行ってゆくのは、医師の役割なのです。
その診断に納得がゆかなければ、違うクリニックに行ってみるなどの対応はできるでしょうが、 あなたに行えることはそこまでです。
患者は、症状を伝えるところまでしかできないのです。
住まい手と専門家の役割の違い
翻って、お住まいに視点を移してみましょう。
意味のある点検を合理的に行うための唯一の方法をお伝えします。
「経時変化」
をとらえることができる
「住まい手」
の皆さんが、お住まいに対し、様子が変わったと感じられたときに、劣化とか不具合などの判断を
「せず」
に、しかるべき専門家に相談すること。
この方法しかありません。
ちなみに、弊社の案内には、このように書かれています。
『本質的な意味合いからすると、我々の業界で一般的に行っている定期点検では、建物の不具合をくまなく見つけることは不可能です。
そこで、当店では、お客様からのご指摘事項やご依頼を受け、都度予定を立ててご訪問させていただく形式をメインに考えております。
ですから、何かお気づきの点がございましたら、いつでも遠慮なくお申し付けください。』
追記:どこに頼めばよいのか?
正直、ここが大問題ですよね。
もちろん、「弊社に声をかけてください」という気持ちは大いにあるのですが(笑)、皆さんのために、自分の立場を忘れ、できる限り客観的にお答えします。
結論から申し上げれば、「雨仕舞」を理解している業者、というか人間に依頼するしかありません。
では、それは誰なのかと言われると、難しいです。
建築士
まずは取得資格から判断できるかについて。
建築系の資格でまず思い浮かぶのが「建築士」だと思います。
でも、建築士は雨仕舞に詳しいとは言い切れません。
建築士の試験では、外部からの雨水浸入を抑止する方法などは試験科目にないのです。
ですから、建築士の試験に合格しても、雨仕舞の知識が備わっている証拠にはなりません。
私は、雨仕舞について建築士から質問されることもありますが、それはそんな理由からです。
ですから、建築士であるということだけで、雨仕舞を理解しているとは言い難いのです。
大工
次に、大工さんはどうか。
家を建てるという観点から申し上げると、今の大工さんは、構造と内装に携わることが多くなっています。
昔とは違って、今は分業化が進んでいます。
ですから、雨をよける工事は、その後の専門職工が担うことになります。
私は、雨仕舞について大工さんから質問されることもありますが、それはそんな理由からです。
だから、大工さんだからといって、雨仕舞に詳しいかといえば、そうとは言い切れません。
板金工
家を建てる上で、板金工が最も雨をよけることに携わっています。
ちなみに、今の板金工の一般的な持ち場は、こんな感じです。
●板金(金属の板を加工して取り付ける建築部材の全般)
●屋根※焼成瓦屋根や茅葺き屋根などを除く
●サイディング・破風・軒天(目地などのシーリングを含む)
●雨どい
雨から建物を防ぐこと全般にかかわっています。
もう、板金屋さんに頼めば間違いないですね!
…なかなかそうはいかないのが難しいところです(笑)
今は分業化が進んでいるとお伝えしましたが、その流れで、板金部材においても、工場で折られて製品化されているものがほとんどです。
現場で板を切って曲げて作ることはあまりなくなりました。
しかも、マニュアルが充実しており、書いてあるとおりに行えば、少しの知識がある職人であれば、間違いなく施工できるようになりました。※そのこと自体はたいへんよいことです。
ただし、それによって、
「この部材はなんのために必要なのか」
がわからない職人が増えてしまいました。
知らなくても、書いてあるとおりに作業すれば、ある程度の品質は担保されてしまうからです。
でも、そのことによって、不具合を抱えた物件に対して、どこが間違っているかを判断することができない職人が多くなっています。
弊社では、板金屋さんから雨漏り調査を依頼されることもあるのですが、それはそんな理由からです。
だから、板金屋さんだからといって、雨仕舞に詳しいかといえば、そうとは言い切れません。
防水工
それでは、防水屋さんはどうでしょう?
木造の建物で、防水屋さんが行うのは、大工さんが形をつくったバルコニーくらいです。
ですから、雨仕舞の知識があろうがなかろうが、マニュアルを守ってさえいれば、きちんとした品質の工事はできてしまいます。
弊社では、防水屋さんから雨漏り調査を依頼されることもあるのですが、それはそんな理由からです。
だから、防水屋さんだからといって、雨仕舞に詳しいかといえば、そうとは言い切れません。
塗装工
では、弊社の業種である、塗装工はどうでしょう。
実は、今や、家を建てる上で、塗装職人が携わることはほとんどありません。
軒天(屋根の軒の裏側にあたる天井部分)材は、慣習によるのかわかりませんが、いまだに無塗装品が出荷されることが多いので、それを塗装することくらいです。
私のブログを読んでくださっている方ならよくお分かりかと思いますが、塗装したから外壁がふくれたり、下地が腐ったり、雨漏りしたケースがたくさんあるのです。
それは、塗装職人が水の流れをまったく把握せずに塗装し、塗膜によって雨水が排出されなくなったり、毛細管現象を発生させたりしたからです。
弊社では、塗装屋さんから雨漏りに関する相談を依頼されることもありますが、といいますか、建築に携わっている人の中で、最も多く相談されるのが塗装職人からなのですが、それはそんな理由です。
だから、塗装屋さんだからといって、雨仕舞に詳しいかといえば、そうとは言い切れません。
誰に頼めば…
さて、元に戻ってしまいました(笑)
繰り返しになりますが、「雨仕舞」を理解している業者、というか人間に依頼するしかありません。
それを見分ける方法としては、これしかないでしょう。
「雨仕舞についてきちんと説明している業者であるかどうか」
いろいろな業者のサイトを見てください。
雨仕舞について記載があるでしょうか?
もしあったとして、書いてある内容は本当に「雨仕舞」であるといえるでしょうか?
雨仕舞とは、こういったことであるはずです。
↓ ↓ ↓
雨仕舞のリペイント湘南|雨漏りを必ず止めて修理する 藤沢市の屋根・外壁塗装店
雨仕舞について詳しい知識がなければ、サイトを見ても判断がつかないということはありません。
ざっくりとした内容がつかめていればOKです。
皆さんにやっていただきたいことは、ただひとつ。
そのサイトの雨仕舞に関する記事に対して、整合性があり、矛盾なく、つじつまがあっているか?
ようするに、文章として成立しているかを読み解いてもらえればよいのです。
もし、そうやって探しても、近くにこれといった業者がいなかったら…
そのときは、弊社にお問い合わせください。
地域が離れていてもかまいません。
ご相談をいただくことによって、何かお役に立てることが見つかるはずですから。