【私はこう考える!】塗り替え工事ではなぜダメなのか?

原田芳一です。

今回は、なぜ私が、ブログのタイトルを
「塗り替え工事は行うな!」
にしたのか、その理由をお知らせします。

●建物の保護についての誤ったイメージ

私は、年間でおよそ100件の建物調査を行っています。かれこれ20年以上こんなことをしていますので、少なく見積もっても、今までに2000件の建物を見てきたことになります。

そんな私が常々感じているのは、過去に塗り替え工事を行った建物の劣化が激しいことです。

ここで言う「劣化」とは、チョーキング(粉化)や色あせといった、見た目のことではありません。

水を含んでふやけていたり、腐っていたりといった、基材に関する劣化のことです。

こういった現象は、塗り替えを行っていない建物よりも、塗り替えた建物のほうが、より多く発生しています。

たとえば、同じく築20年経過しているお宅であれば、塗り替えを行っているほうが、塗り替えていないお宅より、基材が劣化している確率は高いのです。

…こう話しても、多くの方は、私の言っていることを信じてはくれません。

「どうせお前の恣意的な考えだろう」と。

たしかに、このような「仮説」にエビデンスを出すことは難しいでしょう。

こんな突拍子もない話、信じていただけなくても仕方ありません。

でも、誰が何と言おうと、これが厳然たる事実なのです。

以前にもご紹介した写真です。こちらのお宅は、11年前に一度塗り替え工事をされています。矢印の箇所に打たれたシーリングは、新築当時から打たれていたのかはわかりませんが、11年前の工事の際に打ち替え(または新設)されていました。水切り板金があるので、そこにシーリングを打たなくても、雨水は建物内部に浸入することはありません。逆に、シーリングを充填したことによって、サイディングの裏側(内側)に発生した結露水、ないしは毛細管現象などで入り込んだ雨水が、逃げ場を失い、たまることによって、サイディング小口から吸水し、塗膜をはがしたのです。

ここにシーリングを打たなければ、サイディングがボロボロになることはなかったのです!

こういった例は、枚挙にいとまがありません。私が一度塗り替えられた建物を調査すると、施工したことによって劣化を進めてしまった箇所に必ず遭遇します。

なぜそんなことになってしまうのか?

それは、塗り替え工事を依頼するお客様、ないしは、塗り替え施工する業者が、こんなイメージを持っているからに他なりません。

「塗膜がだんだんと劣化していって、雨水が壁や屋根に染みこむようになるので、それを防ぐために、定期的に塗装して水をはじくようにしなければならない。」

この考えが誤っているのです!

●不具合を直す「改修工事」であるべき

なぜそう断言できるのかといえば、私が数多くの物件を見てきた結果、あることに気づいたからです。

それは、建物は、どの部分も同じく劣化しているのではないということ。

さらに、日当たりなどによる劣化の違いも、根本的な問題ではないということ。

では、どうして建物が傷んでくるのかといえば、それは、新築時から建物に潜んでいる「不具合」によってなのです。

「不具合」といっても、施工不良とか、そういう次元の問題ではありません。もちろん、いい加減な設計や施工によって、不具合ができる場合もあります。でも、多くの場合、特段ひどい造りではなくとも、どうしても起きてしまうものなのです。

そういった不具合は、ふくれやはがれ、ひび割れといった現象として、だんだんと顕在化してゆきます。ですから、ふくれやはがれ、ひび割れは、不具合ではありません(いわば「劣化現象」です)。

不具合とは、その劣化現象の原因となっている納まりの不備のことを指すのです。

先ほどの写真でいえば、塗膜がはがれていることが劣化現象であり、その原因となっている、してはならない箇所へのシーリング施工が不具合です。あの状態で、はがれた箇所を塗装したところで、原因が解消されていないわけですから、すぐにはがれてしまいます。そこで、原因となっているシーリング材を撤去し、撤去したままの状態で塗装することが求められるのです。

このように、建物を維持するための工事となるためには、不具合を見つけ出し、あるべき姿に変えてあげることが必要なのです。

「新築のように元に戻す」という考えでは、建物を維持させることはできないのです。

このことをして、私は、「塗り替え工事」ではなく、「改修工事」であるべきだと提唱しています。

●改修工事を行う上で必要なのは?

改修工事を行う上においては、当然、建物全般にわたる知識が求められます。

特に、雨仕舞(リンク先にジャンプします)の知識は、外装の改修において必須です。

極論かもしれませんが、私は、雨仕舞の知識がない者が現場で塗装工事を行ってはならないと思っています。なぜなら、現場作業のちょっとしたことでも、雨仕舞の知識が求められるからです。簡単にいえば、なんとなく塗ってしまったその塗膜で、雨水の排出が妨げられ、塗装前より腐朽を進めてしまうことだってあるのです。

そういった意味合いからすると、塗装工事をさせられる人間はとても限られます。「まじめ」「ていねい」「一所懸命」だけではダメなのです。
※雨仕舞の知識を有している塗装職人など、残念ながらほとんどいません。それが、現状の外装リフォーム・メンテナンス工事の最大の問題点です。

みなさんは、本当に、自分のお宅に「塗り替え」工事をさせてもよいのですか?