【完工事例】[21.4.7]鎌倉市Tビル・雨漏り再現調査(担当:能登広)

物件データ

施工中リポート

2021年4月7日(水) 散水調査

建物外観

雨漏り診断士の資格所持者が、
疑わしい箇所に水をかけて漏水箇所を特定する「散水調査」を行います。

 

調査①

北面漏水箇所上部外壁、看板下折り、約4m散水しました。

2021/4/7 10:18~11:48
漏水再現しませんでした。

 

調査②

北面漏水箇所上部、3階アルミ笠木下より、約4m散水しました。

2021/4/7 13:17~13:35
漏水再現(約18分) しました。
(窓上部アルミ枠ビスが湿る程度)

※この後、水が垂れるかを判断するため、14:47まで掛け続けましたが、変化はありませんでした。

 

調査②

北面漏水箇所上部、3階アルミ笠木下より、約4m散水しました。

2021/4/7 13:17~13:35
漏水再現(約18分) しました。
(窓上部アルミ枠ビス部分が湿る程度)

※この後、水が垂れるかを判断するため、14:47まで掛け続けましたが、水滴が垂れることはありませんでした。

 

調査②

2階開放廊下窓上部ビスより浸出しました (湿る程度)。
※写真では、分かりずらいですが、ビス廻りに水が出ています。指でビス部分を触ると濡れる程度です。

 

調査③

北面漏水箇所上部、3階屋上腰壁アルミ笠木下より、内壁へ約4m散水しました。

2021/4/7 14:55~15:23
漏水再現(約28分) しました。

 

調査③

北面2階開放廊下窓上部、
ビス部分などから浸出しました。

 

調査③

北面2階開放廊下窓上部、
ビス部分などから浸出しました。

 

調査③

北面2階開放廊下窓枠、
左下角より浸出しました。

 

調査③

浸出箇所を赤外線で撮影しました。
青色の部分が浸出箇所です。

 

調査③

赤外線で反応の出た箇所を、水分計で測定したところ、47.1%と高い数値となり、濡れていることがわかります。

 

調査③

別の場所を水分計で測定したところ5.2%なり、先程の箇所が濡れていることがわかります。

 

調査④

北面漏水箇所上部、3階屋上腰壁アルミ笠木下より内壁のシーリング目地破断箇所へ散水しました。

2021/4/7 16:05~16:19
漏水再現(約14分) しました。

 

調査④

北面2階開放廊下窓上部、
ビス部分などから浸出しました。

 

調査④

北面2階開放廊下窓枠、
右角より浸出しました。

 

2021年4月21日(水)

調査⑤

北面3階屋上アルミ笠木へ、約4m散水しました。
※この時、外壁及び内壁へ水が掛からないように、養生を行っています。

2021/4/21 9:24~10:54
漏水再現しませんでした。

 

調査⑥

北面3階屋上西側出入口ドア上部外壁、アルミ笠木下より約2m散水しました。
※この時、調査⑤において養生を行った箇所はそのままの状態で、水が掛からないようにしています。

2021/4/21 12:41~13:00
漏水再現(約19分) しました。
※3階西側出入口ドアの内側から見て、左下内壁に浸出しました。
この後、引き続き14:11まで掛け続けましたが、2階窓への進出はありませんでした。

 

調査⑥

浸出箇所を赤外線で撮影しました。
青色の部分が濡れている箇所です。

 

調査⑥

赤外線で反応が出た箇所を水分計で計測したところ、36.4%と高い値となり、濡れていることがわかります。

 

調査⑦

北面4階屋上西側アルミ笠木へ、約2m散水しました。
※この時、外壁に水が掛からないように養生を行っています。

2021/4/21 14:21~15:51
漏水再現しませんでした。

以上、散水調査の結果、漏水箇所を特定しました。

総合所見

北面2階開放廊下窓への雨漏り具象は、当該窓上部の外壁タイル面、アルミ笠木から看板まで間もしくは看板内部からの浸入と思われます。(微量)
北面2階開放廊下窓への雨漏り具象は、当該窓上部の3階屋上腰壁の内側の壁やシーリング目地と思われます。
3階屋上出入口ドアへの雨漏り具象は、出入口ドア上部外壁からの浸入と思われます。(微量)

本件雨漏りにおいては、原因となる雨水浸入位置が複数箇所であり、雨水浸出位置が複数である「複数浸出雨漏り」であると考えられます。
タイルはALCパネルの表面に張り付けてあるため、下地であるALCパネル自体、またはジョイントの止水措置に不具合があることがうかがえます。
また、看板内部におきましては、未確認ではありますが、取り付け金物などより浸入している可能性があります。

鉄骨建築物において、外壁がALCパネル下地に磁器タイル仕上げの場合、最終的な止水はALCパネルとなります。
そのため、タイル目地やひび割れなどから浸入した雨水などはALCパネルによって室内への浸入を防ぐことになりますが、そのALCパネルにひび割れが発生したり、パネル間シーリングが破断した場合には、それらからより雨漏りが発生する可能性が高くなります。
外装材(塗膜やモルタル・外装パネルなど)を1次防水と呼ぶのに対し、この防水は2次防水と呼ばれています。
したがって、根本的に理に適った状態とするためには、不具合が発生していると思われる部位のタイルをはがし、2次防水を最適化する必要があります。
あるいは、既存タイル外壁の上にサイディングなどの新規外壁を張り付け既存外壁に水が浸入しないようにすることで雨水の浸入を防ぐことが考えられます。

ありがとうございました。